商学部山田 辰己ゼミ 国外実態調査報告

調査日:2018年2月6日(火)~10日(土)
参加者学生:3年生9人、4年生9人  計18人

調査先:Singapore
KPMG、SGX(シンガポール取引証券所 )、Mapletree、PwC

調査の目的

アジアのビジネスハブとして知られてるシンガポールにおいて、国際財務報告基準(IFRS)はどのように利用されているのか、どのような影響をもたらしているのかを直接聞くことにより、IFRSへのより深い理解を得ること及び監査法人がシンガポールで日本企業にどのような支援サービスを行っているかについて聴取すること。

I. 調査成果

今回の訪問で、以下のような成果を得た。

1. KPMG(2月7日午前10時から12時まで)

シンガポールでは2018年1月から上場企業に対しSFRS(I)(Singapore Financial Reporting Standards International)を適用することが義務づけられたが、どのような影響があるかについて説明を受けた。現在のSFRSに加えて、上場企業には、SFRS(I)が強制適用されることになる。SFRSは、IFRSをベースとするものの、シンガポール独自の解釈などが含まれているが、SFRS(I)は、国際会計基準審議会(IASB)が作成したIFRSをそのまま受け入れたものである。またにIFRS9号(金融商品)、IFRS15号(顧客との契約から生じる収益)は、2018年1月1日から強制適用されているが、これがシンガポール企業に大きな影響を及ぼしている実態の説明を受け、そのインパクトを理解することができた。

SGX(シンガポール取引証券所)(2月7日午後2時から4時まで)

SGXの資本市場としての役割及び現状について説明を受けた。また、アジア戦略のゲートウェイと呼ばれているSGXでは、国際的な市場としてどのような戦略をとっているかについて質疑応答を行った。日本の証券取引所と違い、幅広い商品を揃え、積極的に新規上場を受け入れることで海外投資家によるアジアへの投資を促進していることが理解できた。SGXは他のアジア証券取引所とどう競争していくかではなく、アジアのビジネスハブとしてどうあるべきかを考えた戦略を取っているということが分かった。

Mapletree(2月8日午前11時から午後1時30分まで)

シンガポールに本社を置く政府系の不動産投資開発・運用会社であるMapletreeでは、その活動状況、特に、どのようなビジネスモデルで利益をあげているのか、実際に今までどのような不動産開発や運用を行ってきたのかについて事情聴取を行った。そこでは、日本を含めアジア各国で同社が広範囲な活動を行っていること(中国、香港及び日本への投資が大きい)、また、最近ではアメリカにおいても活動を強化していることが理解できた。 同社は、IFRSを採用しているが、短時間ではあるが、経理担当者からIFRS適用状況について意見を聞くことができた。IFRSの導入が円滑に行われたこと、IFRS15号については、その適用上の問題点の分析がほぼ終わったこと、さらに、IFRS第16号(リース)については、その適用開始が2019年1月1日からであるため、現在その影響分析(同社は物件の貸手であるためそれほど影響はないが、借手であるテナントには大きな影響がある)を行っているところであることについて説明を受けた。 インタビュー後、同社の敷地(Mapletree Business Cityという数棟の大型ビルからなる複合施設)内を見学し、Googleなどのグローバル企業がテナントとして入っている実態を理解することができた。

PwC(2月9日午後4時から午後5時30分まで)

PwCにおいては、SFRSとSFRS(I)の違い、また、SFRS(I)を採用する理由について説明を受けた。両者において大きな違いはないが、SFRSは海外企業がシンガポールで資金調達を行えるようにIFRSをベースとしながらも独自の柔軟な規定であること、、また、SFRS(I)はグローバルな市場を目指す企業にとっては、シンガポール会計基準に準拠するとともに、IFRSに準拠して財務諸表の作成をしたと記述できる点が採用する大きなメリットであることについての説明を受け、その意図を理解することができた。

その他

KPMGの日本駐在員、Mapletreeの方々との食事の機会を得て、非公式な意見交換ができた。グローバル社会で活躍する方々が実際にどのような経歴を歩んできたかを聞くことで、自分たちがグローバル人材として何が求められているのか、今何をすべきなのかを考える良い機会となった。

今回の訪問では、シンガポールがアジアのビジネスハブとしてどのような役割を担っているか、そしてそのビジネスハブとしての体制を支えるために、各訪問先がどのような活動しているか、今後どうすべきかと考えているかが理解できた。大学生活の中でこのような貴重な機会を設けて下さった各企業の方々には、厚く御礼を申し上げる次第である。
また、多文化社会を肌で感じる機会がかなり多く、グローバルで活躍をすることを志しているゼミ生にとっては非常に刺激的な経験であった。
今後の学生生活では、会計についてはもちろんだがそれ以外の教養も高め、人として魅力のある人材になりたいと思っている。今回の調査は、自分の不足している点を身をもって感じ、それを改めていこうと考えるきっかけを提供してくれたものであった。今後ともこの気持ちを忘れずに、精進していく所存である。