商学部木下 耕児ゼミ 国外実態調査報告

タイトル:タイ研修
授業名:ベーシック演習Ⅱ
調査日:2017年10月17日(火)~10月22日(日)
参加学生数:1年生 12人
調査先:Bangkok, Thailand

調査の趣旨(目的)

山田長政の時代から日本と長い国交の歴史を持つタイの首都バンコクを訪れ、その社会と文化を体感し、当ベーシック演習のテ-マであるGlobalismの視点から理解と考察を深めることを目的とした。具体的には、アユタヤ世界遺産の古刹、メークロン市場、繁華街から農村・漁村に至るまで、長い時の流れと人の営みを体感し、本学商学部の協定校であるPanyapiwat Institute of Management (PIM) のプログラムに参加した。PIMでは、international Modern Trade Business Management (iMTM) 専攻の学生と交流しつつ、①Hotel Business and Tourism in Thailand and Asia/Special Projects Development Sector in Agricultural Networkおよび、②Business Marketing Managementを英語で受講した。また、Tan Passakornnatee (タン・パーサコンティー) 氏率いる大手飲料水メーカーIchitanのGreen Factoryを見学した。

調査結果

まず、Bhumibol Adulyadej (プミポン・アドゥンヤデート)前国王の一周忌・葬儀が近づいていたこともあり、喪中の腕章を付け、黒や白の服装をした市民が清掃やゴミ拾いをしている姿が目に付いた。日本の仏教文化も歴史は深いものの、それ以上にタイが敬虔な仏教国であることを強く認識した。同時に、アユタヤ世界遺産の古刹は素晴らしかったが、ミヤンマ-(旧ビルマ)との戦争で破壊された跡が痛々しく、考えさせられるものがあった。こうした仏教文化・伝統が、タイの現代ビジネスやビジネス・マインドに何らかの影響を及ぼしているのだとすれば、考察に値する。
市街地に目を移すと、立ち並ぶ現代的な高層ビルと、所狭しと密集する屋台や河川沿いの木造小屋の対比は、タイらしく、どこか懐かしい印象を受ける。メークロン市場は後者の典型だが、狭い小店舗街の真ん中を列車がすれすれに徐行するという話題性はあるものの、お世辞にも綺麗で衛生的だとは言えない環境で、雑貨・土産物、生鮮食品、嗜好品他、どの程度の利益が上がるのか。一方、モノレ-ルや地下鉄の主な駅周辺には、モダンなデザインの巨大モ-ルやアウトレットが建設され、有名ブランド店、高級食材店、レストランが立ち並び、かなりの混雑である。「グローバル化」による「地域性・文化の消失」とも言える。日本よりもかなり物価が安いのだが、先ほど記した仏教国の印象とは全く異なり、東京の都心と何ら変わらない「消費社会」である。そうした消費者層の分布に加えて、街の開発やそれに伴う投資がどのように進むのか、来年度は、さらなる変化を見ながら、具体的に調査する機会を持ちたい。
また、協定校であるPIMは、work-based educationを標語としており、前述した二回の講義においても、iMTM専攻生の職業や関連領域の学習に対する意識が垣間見られ、興味深かった。 講義①については、言うまでもなく、東京オリンピックを控えた東京でも、ホテル・観光業は、主要部門の一つであるし、輸入に大きく依存せざるを得ない農業や畜産の実態を改善する経営方式や投資のあり方も同様に重要だと言える。一方の②は、基本的な科目で、①よりもわかりやすい内容であった。ただし、①②とも、英語で行われたため、予想されたことではあるが、積極的に発言するPIMの学生とは対照的に、本学の学生は始終、寡黙であった。グローバル言語=英語でコミュニケ-ションすることは必須であり、今さらながら、日本の英語教育の大きな遅れと、英語による専門教育の決定的な不備を痛感せざるを得なかった。
最後に、アユタヤのIchitan Green Factoryを見学したが、起業家タン・パーサコンティー氏のユニ-クな個性もさることながら、日本の食文化に強い影響を受け、ペットボトルの緑茶に甘味を加えるなど、タイ風にアレンジしていることが、理解できた。巨大なオートメーション工場の設備も、日本企業の技術によるものらしい。また、当初は、CP (Charoen Pokphand、チャルーン・ポーカパン) GroupのRice工場も見学したかったのだが、残念ながら、先方の事情で実現できなかった。