学部・大学院・専門職大学院

木立真直ゼミナール国外調査報告書

訪問日時:2016年8月31日(水)13:00~15:00

訪問先:株式会社タイヤクルト アユタヤ工場
49 Moo5,Bang pa-Ln-Bang PahanRoad,Tambol Pakkran,Ayutthaya,1300

ご対応者:タイヤクルト アユタヤ工場 猿渡洋祐様
同上 原 勉様
Yakult Sales (Bangkok) Co. Ltd 丸橋一成様

参加学生数:中央大学商学部木立ゼミナール 3年 17名 教員 1 名 計 18名

調査内容

まず初めに、猿渡様から約40分のプレゼンテーションをしていただいた。ヤクルトの商品特性についてのご説明があり、続いて、アユタヤ工場についてのお話を含めたタイヤクルトの概要等をご説明していただいた。ヤクルト商品の効用としては、①腸内で悪玉菌を減らし、善玉菌を増やす、②腸内環境の改善、③便秘、下痢の改善、などがあげられる。そして、ヤクルト独自の80ml容器にも秘密がある。握力の弱い高齢者のために持ちやすさを考慮したり、ゆっくり味わって飲んでもらうためなどの工夫がなされていることを具体的にご説明いただいた。日本では2011年に立体商標登録がなされた。タイでは1日当たり約216万本が消費されている。今回訪問したアユタヤ工場では、2009年に稼働を開始し、現在では1日約130万本生産している。

その後の約60分におよぶ工場見学では、2班に分かれて担当者様に案内をしていただいた。アユタヤ工場では、容器と原料の製造が同じ工場施設内で行われている。容器は24時間体制で製造されている。アユタヤ工場の特徴として、徹底された品質管理が行き渡っていることがある。賞味期限の日付を印字検査装置で検査している。また、製品検査に金属探知機などを用いて製品チェックを実施している。環境面においては、ゴミのリサイクル活動や排水処理施設が充実しているなど、地域住民から理解が得られる工場づくりをしている。タイならではの特徴としては、男性より女性の方が真面目に勤労するという国民性があり、工場内生産ラインで製品目視検査に女性を雇用しているということであった。そして最後に、工場見学後、質疑応答の時間を20分ほど設けていただいた。

お話の中で印象に残ったことは、「アジアへの進出及び戦略」についてである。近年、アジアにおいて食と健康を意識する人が増えており、日本の特定保健用食品のような制度が広がってきている。既にシンガポールではそのような認可制度がある。このように健康と食に関する制度が整備されれば、今後さらに事業拡大の可能性が高まることが期待される。しかし、進出するにあたって障壁や課題もある。タイでは乳酸菌飲料が浸透する前の発売当初、消費者から腐ったミルクというイメージを持たれていたが、創業47年が経ちお客様と直に接する婦人販売員(ヤクルトレディー)が商品説明し普及活動など販売努力したことで、ヤクルトは子供から大人まで幅広い人気を博しており「人々の健康に貢献する企業」としての地位を築いている。現在も小学生向けの出前授業を行い、すでに200校以上、約7万人の生徒へ乳酸菌シロタ株についての普及活動などの販売努力を実施し、工場見学などに積極的に対応している。

今回の企業訪問では、ヤクルトのケースを通して乳酸菌飲料の効果及び工場の様子などを学ぶことができた。海外でも健康食品が注目されている中、企業がどのように消費者に価値普及を行っていくのか、今回得た知識を生かして今後の研究を深めていきたい。

なお、丸橋一成様はじめヤクルトの皆様には、ご多用中にもかかわらず、本報告書の最終確認と修正についてご協力を賜りました。この点、心からお礼申し上げます。

(文責:〆 昭仁、村松 悠)

 

タイヤクルト アユタヤ工場にて