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砂川 和範ゼミ 合同ゼミナール大会報告

ゼミ名: 砂川ゼミ
授業名: 演習Ⅰ
開催期間:2017年9月3日~5日
開催場所:彦根ビューホテル
参加人数:9人

参加大学:相愛大学音楽経営学科 、就実大 経営学部,北海学園大 経営学部,甲南大学 経営学部,法政大学社会学部,滋賀大学経済学部,滋賀大学 経済学部,大分大学 経済学部,甲南大学 経営学部,公立鳥取環境大学 経営学部,成城大学経済学部

ゼミナール大会等報告

経営学合同ゼミ合宿は、10校以上〔参加校の事情により近年、参加に制約がかかってきたため、半減した〕の大学が参加する20年以上の歴史を持つ大会である。全国の国立公立私立大学の経営学の教員有志によって開催運営がなされ、持ち回りで開催校を決めてきた。砂川ゼミナールも2009-11年の在外研究期間、並びに2016年を除き、2003年度より参加続けてきており、2003年、2011年には、幹事校として、横浜ノボテル、並びに、東京ディズニーランドホテルを会場として運営を行ってきた。
本年度は、滋賀大学を開催校〔開催場所彦根ビューホテル〕として、「共生」をテーマとして各校が研究発表を行い、活発に議論がなされた。参加校は、以下のとおり。参加学生数は、約250人。

1.相愛大学音楽経営学科 松谷ゼミ

2.就実大 経営学部江ゼミ

3.北海学園大 経営学部澤野ゼミ

4.中央大学商学部 砂川ゼミ

5.甲南大学 経営学部奥野ゼミ

6.法政大学社会学部 宇野ゼミ

7.滋賀大学経済学部 陳ゼミ

8.滋賀大学 経済学部澤木ゼミ

9.大分大学 経済学部本谷ゼミ

10.甲南大学 経営学部廣山ゼミ

11.公立鳥取環境大学 経営学部中尾ゼミ

12.成城大学経済学部 境ゼミ

砂川ゼミナールは、地域振興についてこれまでの経緯を踏まえて新機軸と言い得る視点を主張するものであった。タイトルは「第2の故郷の作り方ー日常と異日常の共生ー」というものであった。地域振興、町おこしを、観光の観点を補助線としながら考えるというもので、とりわけマスツーリズムの限界を前提として、地域をストーリー性のある場所として組み上げることの重要性、並びに、その具体的方法として、沖縄並びに広島の事例をもとに問題提起するものであった。旅と定住を組み合わせて考えると、長期的に地域にコミットメントする顧客の獲得が地域振興にとって重要であり、これまでの町おこしや観光開発が、ワンショットの観光客の獲得にしかなっていないこと、それが本質的な町おこしには繋がらないことがわかる。その突破口として、日常と非日常ではなく、日常と異日常という概念を提示し、ふたつのホームタウンを持つようなことが可能になりつつある現在が指摘される。それは従来の旅や観光概念を乗り越えるような発想である。また、そこでは、聖地巡礼をめぐる近年の新しい考え方が紹介され、その発想が観光業に与えている効果が考察される。新しい発想による聖地巡礼とは、当該地域をロケ地とした映画やドラマなどの流行によって、そのストーリーに基づいた意味を作り、価値付けることによって、観光客を集める現象のことである。事例として、とくに広島における広島カープが紹介され、いわば神話化されたストーリーによって全国のファンが広島を新しい故郷と感じられるような現象が生じていることが紹介された。 活発な議論が起こる発表ではあったが、細かい論点については、やや荒削りな部分もあり、残念ながら受賞は逃すことにはなったが、教員からみれば、学生ならではのフレッシュな視点があり、問題を取り巻く議論に一矢を報いたと思われる。優勝校の成城大学は、地方自治体と組んで綿密に準備を行っていた点など及び持つかないものの、問題提起においてはまさっていたのではないか、と評価したい。