商学部久保 知一ゼミ 国内実態調査報告

タイトル : 久保 知一ゼミ 実態調査報告
調査日  : 2018年9月10日~12日
参加学生数: 課題演習生12人、4年生14人
調査先  : 八海醸造株式会社

調査の趣旨(目的)

製品のコモディティ化、市場縮小といったマーケティング課題に対してのブランド・エクイティの構築、ブランド拡張の有効性を八海醸造株式会社の工場見学とヒアリングを通じて学習する。

調査結果

今日、酒市場、清酒市場の成熟化が進む中で、各々清酒メーカーは「市場の縮小」と、製品の知覚品質に差が無くなり、消費者が金額で製品を判断するようになってしまう「コモディティ化」といったマーケティング課題を抱えている。このような環境で多くの清酒メーカーが売上高を減少させてしまっている中、八海醸造株式会社は2016年度の売上高において約62億と前年比4.9%もの売上高の増加を記録し、清酒市場を牽引する存在となっている。  このように八海醸造株式会社が成長を続けられている理由は、「八海山」というブランドのブランド・エクイティの構築とブランド拡張が有効なものであったからである。そこで、八海醸造株式会社がどのような生産体制の元、これらを実現しているのかを調査すべく、八海醸造株式会社に訪問し、工場見学及びヒアリングを行った。

八海醸造株式会社に訪問し、まず工場見学と生産体制についてご説明頂いた。特に、八海山の生産においてランクごとに麹の発酵時間に差を付けないことで、質そのものは変えないように製造している事は、「八海山」の名を冠するブランドの質の担保になっているという。この事から、ブランドの中で安価なものであっても、ブランドの毀損をさせないようにすることで製品に対する信頼感を生み、ブランド・エクイティの構築に繋げているということが窺えた。又、市場縮小に対する新製品として、昨今の健康食品市場の伸張に目を付け、「八海山 麹だけでつくったあまさけ」という八海山の名を冠したブランド拡張製品を売り出し、好評を得ている。このことから八海山の「高品質」というブランドイメージが甘酒においても訴求出来ており、的確なブランド拡張に成功している事が窺えた。

そして、当社製造部次長である棚村様にヒアリングを行ったところ、八海山の製造において機械に置き換えることでむしろ高品質化できる工程には積極的に導入し、それによって浮いた様々な資源を手作業に必要な工程に投じているということが明らかになった。この事からも、八海醸造株式会社は八海山の需要の増加に応え、大量生産を可能にしながらも、品質を落とさないように手作業の工程に多くの資金を投じ、職人のこだわりが伝わる製品の製造を心がけており、この施策がユーザー体験をよりよいものとし、ブランド・ロイヤルティが生まれ、ブランド・エクイティの構築につながったことは明らかであり、八海醸造株式会社におけるマーケティング戦略と製造体制が整合していることが確認された。

このように清酒業界を牽引する八海醸造株式会社の工場見学、ヒアリングを通じて、市場の成熟化が進み、市場の縮小、製品のコモディティ化が起こる中で、ブランド・エクイティの構築、ブランド拡張が有効であり、製品を製造する過程においてブランドを毀損しないための徹底した生産体制の整備、品質管理が重要であることを改めて認識することが出来、マーケティング戦略に対して一段と深い理解をする機縁となった。