学部・大学院・専門職大学院

授業特別協力者(ゲストスピーカー)報告

授業科目

演習Ⅰ, 演習Ⅱ(清水克洋先生)

授業日

2016年11月24日 (木曜日)

授業場所

授業教室(5709教室)

履修人員

20名

授業実施結果

山本泰之氏は、2012年3月本田技研工業株式会社(ホンダ)に、バイク部門採用で入社し、現在、株式会社ホンダモーターサイクルジャパン営業部 販売課において、エリアスタッフとして働いている。ホンダの経営戦略において、創業の出発点である二輪車をどのように位置づけてゆくのか。それを実現するための組織、雇用の在り方について講義してもらうことを、授業目的とした。
まず、山本氏の入社後約4年半の経歴と、それを通じた(株)ホンダにおける雇用の在り方についての紹介がなされた。氏は、研修の後に、二輪の海外営業、すなわち、ブラジルをはじめ、南米現地法人の営業サポートに携わった。その後、二輪車輸出業務、さらに、現地法人サポートの経験を生かした業務標準化プロジェクトを担当した後、子会社である株式会社ホンダモーターサイクルジャパンに出向して、国内での二輪車の販売営業を行っている。氏によると、ホンダはこのような形で若いうちから様々な業務に携わることを通じて社員の成長を促している。ただし、氏の場合少し配置転換が頻繁であるとのことであった。また、氏の積極性もあるが、入社後すぐに、責任のある仕事を任せられることがホンダの特徴であるとされた。現在の、国内営業の仕事に関わって、二輪市場における、ハーレー・ダビットソンや、それに追随するカワサキのコンセプト重視、販売店のディーラー化の成功に対して、ホンダが遅れをとっており、そのことの打開策を探るのが氏の課題であることが紹介された。
参加者(ゼミ生19名、ゼミ生以外1名)から、山本氏の就職活動、ホンダにおける雇用の実態などについて質問が出され、それに対する回答の形で、報告が補足された。とくに、ホンダにおいては、年功昇進システムが維持されていることから、氏の実績に基づく評価要求が抑えられ、転職を模索した時期もあったことが紹介された。実際に、転職が高い比率であることも指摘された。他方、労働時間等については、36協定に基づく30時間の残業が厳格に守られており、午後9時以降は強制的に退社させられ、仕事の持ち帰りも認められないこと、有給休暇取得が100%であること、これらの点で、ホンダは働き方の1つの典型であることも指摘された。 総じて、日本の大企業における若い社員の働き方、あるいは、働かせ方についての興味深い報告と質疑となった。二輪市場の今後の在り方、そこでのホンダの戦略については、質問は出なったが、参加者も十分納得した説明を聞けた。授業目的を達成できたと考える。