商学部
商学部准教授 中野暁が日本消費者行動研究学会「特集論文賞(口頭発表)」を受賞しました
2025年10月29日
商学部 国際マーケティング学科の中野暁 准教授の論文 “トラップ質問に接した回答者は、その後の回答行動を変えるのか?―不注意・努力不足回答識別法による注意喚起効果―” が、日本消費者行動研究学会「特集論文賞(口頭発表)」を受賞しました。
受賞内容
受賞者名:中野暁(中央大学)、竹内真登(名古屋市立大学)、長崎貴裕(株式会社インテージ)
学会名:日本消費者行動研究学会
論文タイトル:トラップ質問に接した回答者は、その後の回答行動を変えるのか?―不注意・努力不足回答識別法による注意喚起効果―
内容:
この賞は、日本消費者行動研究学会 第4期特集論文セッションにて、口頭審査と論文査読を経て受賞したものになります。発表された論文は年内にオンラインで先行して公刊予定となります。
この研究は、IMC (Instructional Manipulation Check)やDQS (Directed Question Scales)に代表されるトラップ質問の波及効果を検討したものになります。
近年、回答者のスマートフォンでの手軽な調査協力やクラウドソーシング等の新しいプラットフォームの普及によって調査環境は変わりつつあり、研究者や実務家が調査を実施しやすくなってきました。その反面、調査において不注意・努力不足回答が増えているのではないかという懸念もあり、これは多くの学術分野で問題になりえるものです。その一つの対処として、不注意・努力不足回答者の識別が可能なトラップ質問が従来から応用されてきました。
本研究はトラップ質問の直接的な効果ではなく、「トラップ質問に調査の冒頭で接した回答者は、その後の質問に注意深く回答する」という波及的な効果に着目したものになります。本研究の結果に基づけば、IMCについては、先にIMCに触れた回答者の回答精度が高まる波及効果があることが示されました。一方、DQSにはその効果があるとはいえませんでした。本研究は、行動ログに基づく独自的なデータを使い、回答精度の検証を行う新たな枠組みを提示し、従来の研究で捉えられなかった精緻な議論を可能にした点に貢献があります。この結果は、マーケティングや消費者行動研究のみならず、調査を用いる他の学術分野や実務に関係するものだと考えられます。
教員コメント
この度の受賞を大変光栄に思います。マーケティング・リサーチの調査法に関する研究を今後さらに進めるべく精進を重ねてまいります。また、知見を商学部 マーケティング・リサーチ科目の教育に活かしてまいりたいと思います。