商学部
商学部学生が韓国で地域ブランディングに関する実態調査を実施しました
2025年09月05日
商学部「演習Ⅰ・Ⅲ(担当教員:李 炅泰 教授)」の学生が、2025年9月2日(火)~9月4日(木)で韓国・ソウルを訪問し、ゼミ生の研究テーマである、地域ブランディングおよびマーケティングに関する実態調査を行いました。*本調査は中央大学商学部「特色ある学部教育補助」により、渡航費用の一部補助を受けております。
演習(ゼミ)は、3・4年次の2年間にわたり少人数のクラス編成で、専門領域における特定のテーマを決めて学修する科目です。演習を履修することで、それぞれの専門の領域における特定のテーマについて調査し、また文献を読み、発表や討論を行いながら調査能力やレポート作成能力などを身につけることを目指します。
調査報告
調査目的
今回の実態調査は、近年ソフトパワーを増す韓国の首都・ソウルで、ブランディングおよびマーケティングの成功事例を調べることであった。その趣旨に適合した訪問先として、ピョルマダン図書館(文化空間のブランディング)、現代自動車のモータースタジオ(自動車メーカーのブランディング)、明洞商業地区と貨幣金融博物館(地域ブランディング関連)、そして聖水洞の大林倉庫(地域ブランディング関連)などを訪問した。
調査結果
初日の9月2日には、現地到着後にピョルマダン図書館を視察した。同図書館は「コエックスモール(CoexMall:アジア最大の地下ショッピングモール)」にある大型図書館で、約5万冊を収蔵する高さ13mに及ぶ巨大な書棚が印象的である。公共性と文化性を融合した「開かれた知の空間」と「見せる教養」をブランド・コンセプトで、読書や学習、ひいては休憩や待ち合わせ場所として誰もが利用でき、また種々の文化イベントも開催するといった複合的な文化空間としてのブランド・ポジショニングがなされていることを確認することができた。そのような試みがSNSでの話題と国内外からの集客に成功している理由であると考えられた。
二日目には現代自動車のモータースタジオを訪問し、スタッフの説明を受けながら、同社の製品開発、品質管理、デザイン思想、環境対策などについて学んだ。世界の自動車販売台数で注目に値する成果を出し続けている現代自動車グループであるが、こられのような様々な取組みが総体となって、ブランド構築へ結びついていることが見て取れた。また、韓国銀行貨幤金融博物館を訪問し、スタッフの説明を受けながら、貨幣の歴史と中央銀行の役割を学習するとともに、展示施設における体験型コンテンツの提供について視察した。
最終日には街のリブランディングの成功事例として挙げられる聖水洞を視察した。過去、空洞化で衰退した数多くの工場や倉庫が、居ぬきのような形でカフェやファッションショップへリモデリングされ、商業文化地区として変貌を遂げた地域である。その成功には企業と住民(靴職人、芸術家等含む)の共同体としての取組みに加え、街再生の模範事例を作ろうとした行政(ソウル市)の積極的な支援が合わさって、街のブランディングの成功例になったことがわかった。

