商学部

「Jリーグ・ビジネス論Ⅱ(明治安田寄付講座)」に、鹿島アントラーズの春日洋平氏が登壇しました

商学部『スポーツ・ビジネス・プログラム』の科目の一つである「Jリーグ・ビジネス論Ⅱ(明治安田寄付講座:担当教員 渡辺岳夫)」に、12月19日(木)、鹿島アントラーズ 取締役マーケティングダイレクターの春日洋平氏が登壇しました。


Jリーグ・ビジネス論は、主としてJリーグの各クラブの経営者・経営管理者が講師として登壇して、地域特性、スポンサー特性、スタジアム特性、サポーター特性を踏まえて、どのようなクラブ経営を行っているのかをご講義いただいています。

講義内容

 12月19日の授業では、 アントラーズの歴史、事業環境、そしてクラブ経営の順番でお話しいただきました

 最初にアントラーズの歴史について語られました。国内初のプロサッカーリーグ(Jリーグ)開幕への準備が進んでいた1980年代後半、鹿島アントラーズの前身であった住友金属蹴球団は、リーグへの初年度加盟について「99.9999% 不可能」との厳しい評価を受けていました。「0.0001%」の参入条件は、大型補強とスタジアム建設。元ブラジル代表の世界的名手ジーコ氏を招へいし、当時国内には存在しなかった1.5万人収容の全席屋根付きサッカー専用スタジアムを建設することで、Jリーグへの加盟を果たすことができたと説明されました。そこから、リーグ開幕当初の下馬評でも最下位であった鹿島アントラーズが国内最多タイトルホルダーという強豪クラブに成長するまでのプロセス、そして現在の親会社である株式会社メルカリが経営パートナーとなった背景についても説明されました。

 次に、事業環境について説明されました。2017年のDAZN参入により、リーグ視聴プラットフォームが放送から配信へシフトし、リーグ放映権料の増加に伴い大きな経済的なインパクトが生じるとともに、Jリーグの中長期計画にも影響があり、国内リーグは「共存」から「競争」へシフトしたとされました。しかし、アントラーズの現状を見てみると、J1最小規模のコア商圏と、アクセスが悪いという、恒久的な課題を抱えています。したがって、より有利な経営条件にある他クラブと競うためには広告料、入場料、グッズという「フットボールビジネス」に加えて、「ノンフットボールビジネス」すなわちスタジアム活用したビジネスを積極的に展開していかなければならないとされました。

 最後に、クラブ経営について、まず春日氏は経営の根本的な部分について言及されました。すなわち、鹿島アントラーズが顧客に提供すべきものは、鹿島やフットボールが日常にある「ライフスタイル」であり、鹿島におけるスタッフの仕事とは、トップチームを勝たせることであると喝破されました。アントラーズのミッション(存在意義)は「すべては勝利のために(勝利がすべてと言っているわけではない)」であり、鹿島というクラブにとって最も重要なことは、チームがタイトルを取り続けることであります。スタッフ各自の役割は異なるが、仕事の定義は1つ、すなわち「すべては勝利のために」というミッションを全員で共有し、常に本質を追及しながら既成概念にとらわれず挑戦し続けることであるとされました。以上のような理念的なお話に加え、フットボールクラブの一般的な組織構造とアントラーズの組織構造、組織の階層、通常(ルーティン)業務とプロジェクト業務の割合の現状と目標、社内DX推進による業務効率化、人事評価制度、クラブの収入と支出の構造(とりわけ売上高人件費比率のライン)、中長期目標等々について、詳細なご説明がなされました。

 総括として、ブランド価値向上により、販促活動を不要とする状況へのシフト、つまり「売る」から「売れる」へのシフトを目指していることに言及され、講演を結ばれました。

関連リンク

  • 中央大学商学部「プログラム科目」(中央大学公式Webサイト)

 「スポーツ・ビジネス・プログラム」Webページ
 https://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/commerce/point/program/program_01/


  • 鹿島アントラーズ

  Webサイト(外部リンク)
  https://www.antlers.co.jp/


  • 明治安田生命 Webサイト

  明治安田Jリーグ Webページ(外部リンク)
  https://www.meijiyasuda.co.jp/brand/jleague/