商学部『スポーツ・ビジネス・プログラム』の科目の一つである「Jリーグ・ビジネス論Ⅱ(明治安田寄付講座:担当教員 渡辺岳夫)」に、10月3日(木)、Jリーグのパートナー事業部のマーケティング戦略スーパーバイザー山下修作氏が登壇しました。
Jリーグ・ビジネス論は、主としてJリーグの各クラブの経営者・経営管理者が講師として登壇して、地域特性、スポンサー特性、スタジアム特性、サポーター特性を踏まえて、どのようなクラブ経営を行っているのかをご講義いただいています。
講義内容
10月3日の授業では、各クラブに関する講義を学生がより深く理解できるようなるために、「価値の再発見」というテーマで視点を変えてみることの重要性が語られた。
最初に、山下氏は、視点を変えて考えてみると新たな価値・存在・可能性に気づくことができるとされた。例えば、マンチェスターシティは世界的に有名なクラブだが、Jリーグのクラブの中でも必ずしも目立った存在ではない鹿児島ユナイテッドFCというクラブと、実は共通点があるとのこと。すなわち、両者はホームタウンの人口がほぼ同じであり、そのように視点を転じてみると、後者にも今後大きな伸びしろがあると考えることができるとのことである。その他にも分かりやすい例を用いて、視点や視野を変えてみることの意義が語られた。
次に、世界に誇れるJリーグの価値について語られた。第一にマスコットである。世界的に見ても、その洗練度は非常に高い。Jリーグの試合の来場客の女性割合は約40%、家族で来場している客の割合は約50%であり、いずれも世界でトップレベル。こういった客層には、マスコットの存在は、試合結果に関わらず試合に来たことをよかったと思ってもらえる一つの要因になる。
第二、スタジアムグルメである。スタジアムに行けば地元の美味しいものが食べられる。非常に充実しており、レジャーとして成立している。
第三に、涙と笑顔をもたらすことができることである。とりわけカテゴリーの昇格が決定した試合や降格を免れた試合では、老若男女、老いも若きも、嬉し泣きにくれる。初老の男性が人前で泣けることなんてなかなかない。子供が嬉し泣きするなんてなかなかない。いい大人全員が一つのことで嬉し泣きするなんてそうそうない。小学生の男の子が母親とその年齢になって嬉しくて抱き合うことなんてそうそうない。これらのような感動を与えることができるのがJリーグの価値であるとされた。
第四に、絆である。それぞれのJクラブが地域に根差した経営をしているからこそ、応援するクラブが違えども、互いに助け合う絆をリーグとして提供することができている。東日本大震災の際に、多くのクラブのサポーターが、東北の方々の救済・援助のために力を尽くしたのが、その証左である。
第五に、涙も笑顔も絆もすべて私たちの価値。その価値をあげていくためにはどうしたらいいのか、日々考えているのがJリーグである、と語られた。高齢者施設の認知症の普段は支えられる側の方々が、Be supporters!という施策を通じて、Jリーグのクラブを応援し、それが生き甲斐になっている様子が紹介された。Jリーグは生き甲斐としての価値を提供している。次にタイの耳の聞こえない子を日本に連れてきて、耳の聞こえない日本の子、耳の聞こえる日本の子とサッカーを通じて交流する機会を創られ、子供たちは言葉の壁や障害の壁をたやすく飛び越え、仲良くなっていった様子が紹介された。最後に、海外でもJリーグは活動しており、例えば、2011年から始めていることだが、サポーターからユニフォームを募り、それを海外の貧しい村の子供たちに配る事業を行っている。これまで12ヵ国に約6000枚のユニフォームを配り、子供たちの笑顔を産み出してきた。これもJリーグの価値であるとされた。
以上のように、世の中に存在する様々な壁を、スポーツを通じて超えることができるという価値が提供できているとされ、多くの受講生が心を揺さぶられた。そして、大きな拍手のもと講演が終了した。
関連リンク
- 中央大学商学部「プログラム科目」(中央大学公式Webサイト)
「スポーツ・ビジネス・プログラム」Webページ
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/commerce/point/program/program_01/
- 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ[Jリーグ]
Webサイト(外部リンク)
https://aboutj.jleague.jp/corporate/
- 明治安田生命 Webサイト
明治安田Jリーグ Webページ(外部リンク)
https://www.meijiyasuda.co.jp/brand/jleague/