商学部授業科目「簿記論(担当教員:川端助教)」において、7月8日(月)、NPO法人ジャパン・プラットフォーム顧問でニュースZERO元キャスターの村尾 信尚氏に「行政組織のガバナンス―説明責任と透明性―」と題して講演いただきました。
実施内容
近年、大変問題となっている行政組織のガバナンスについて、①行政運営の効率性(税金の使い方の問題)、②財政の持続性(税金の集め方の問題)、③市民による社会選択(望ましいと思う社会の実現方法)の観点から本学学生と大変白熱した議論が行われました。
はじめに①行政運営の効率性(税金の使い方の問題)については、村尾先生自身が携わった三重県の行政改革の事例から、「カナダにおける6つのテスト」について紹介がありました。このテストは、公共事業の必要性について6つのテストを通過できたものだけを承認するプログラム評価の手法(カナダの1990年代のクレティエン政権下において財政再建のために利用された改革手法)です。この6つのテストを市民が見える形で実施することにより、行政組織の透明性を高めることができます。
また、行政組織の実務において行政の効率性を高めることも重要ですが、大きな方向性を決めることも重要です。②財政の持続性(税金の集め方を含む問題)については、子供や若者にツケを回さないためにどのような方向性を目指すべきかの議論が行われました。米国・英国・ドイツ・フランスのデータと比較して、「一般政府純債務残高 / GDP」指標が日本が高いことを示しながら、どのように財政の持続性を維持していくか、および米国型の「小さな政府」かヨーロッパ型の「大きな政府」のどちらを目指すべきかについて議論しました。
さらに、なぜ財政の持続性や地球温暖化といった課題で子供や若者にツケを回すような政策が優先されるのかといった問題意識から、③市民による社会選択の方法(望ましいと思う社会の実現方法)について説明されました。私たちには「社会を変える2つの券」があり、選挙の際の「投票行動」および消費の際の「消費行動」によって意思を示すことができます。例えば、現政権についておかしいと思うのなら野党に投票することによってプレッシャーをかけることができます。また、消費においてグリーンな商品を購入することにより、企業はグリーンな製品を増やします。
学生もいつもの簿記論の技術的なトピックとは異なり、公共性の高い議論やそのような問題に会計の考え方を適用することに新鮮さを感じていました。1年生を対象とした授業ですが、真剣に講演を聞くとともに議論も積極的に行われました。授業後には質問が多く、急遽座談会が開催されて大変充実した時間を過ごすことができました。
関連Webサイト
▷ 村尾信尚オフィシャルサイト(外部リンク)
https://www.nobutakamurao.com/
▷ 川端 千暁 助教 研究者情報データベース(中央大学)
http://researchers.chuo-u.ac.jp/html/100003025_ja.html
▷ 商学部 会計学科 紹介Webページ(中央大学)
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/commerce/departments/#tab_1