商学部

「Jリーグビジネス論Ⅱ(明治安田生命寄付講座)」に 鹿島アントラーズ 取締役マーケティングダイレクター 春日洋平氏が登壇しました

商学部の『スポーツ・ビジネス・プログラム』の科目の一つである「Jリーグビジネス論Ⅱ(明治安田生命寄付講座:担当教員 渡辺岳夫)」に、11月17日(木)、鹿島アントラーズの取締役マーケティングダイレクターの春日洋平氏が登壇しました


「Jリーグ・ビジネス論」では、主としてJリーグの各クラブの経営者・経営管理者が講師として登壇し、地域特性、スポンサー特性、スタジアム特性、サポーター特性を踏まえて、どのようなクラブ経営を行っているのかをご講義いただいています。

 1117日の授業では、 アントラーズの歴史、事業環境、そしてクラブ経営の順番でお話しいただきました。

 

 最初にアントラーズの歴史について語られました。当初はJリーグ加盟などほぼ不可能と思われていた弱小クラブでした。しかし、1.5万人収容の全席屋根付きで、当時他に存在しなかったサッカー専用スタジアムを創り、大型補強をするのなら、ごくわずかな可能性だが、加盟の道が残されていました。そこで、諸条件を満たすスタジアムを創り、元ブラジル代表のジーコ氏を獲得し、ついに加盟を果たすことができたと説明されました。さらに、その後、鹿島アントラーズが国内最多のタイトルホルダーという強豪チームに至るまでのプロセス、そしてメルカリの傘下に入る際の考え方が説明されました。

 

 次に、事業環境について説明されました。2017年のDAZN参入により、放送から配信へシフトし、大きな経済的なインパクトが生じるとともに、Jリーグの中長期計画にも影響があり、国内リーグが「共存」から「競争」へシフトしたとされました。しかし、アントラーズの現状を見てみると、J1最小規模のコア商圏と、アクセスが悪いという、恒久的な課題を抱えています。したがって、そのためには広告料、入場料、グッズという「フットボールビジネス」に加えて、「ノンフットボールビジネス」すなわちスタジアム活用したビジネスを積極的に展開していかなければならないとされました。

 

 最後に、クラブ経営について、まず春日氏は経営の根本的な部分について言及されました。すなわち、鹿島アントラーズが顧客に提供すべきものは、鹿島やフットボールが日常にあるライフスタイルであり、鹿島におけるマーケティングスタッフの仕事とは、トップチームを勝たせることであると喝破されました。アントラーズのミッション(存在意義)は「すべては勝利のために(勝利がすべてと言っているわけではない)」であり、クラブにとって最も重要なことは、チームがタイトルを取り続けることであります。スタッフ各自の役割は異なるが、仕事の定義は1つ、すなわち「すべては勝利のために」というミッションを全員で共有し、常に本質を追及しながら既成概念にとらわれず挑戦し続けることであるとされました。以上のような理念的なお話に加え、フットボールクラブの一般的な組織構造とアントラーズの組織構造、組織の階層、通常(ルーティン)業務とプロジェクト業務の割合の現状と目標、社内DX推進による業務効率化、業績評価制度、クラブの収入・費用の構造(とりわけ売上高人件費比率のライン)、中長期目標等々について、詳細なご説明がなされました。

 

 総括として、ブランド価値向上により、販促活動を不要とする状況へのシフト、つまり「売る」から「売れる」へのシフトを目指していることに言及され、講演を結ばれました。

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