6月16日(金)、国際経営学部の会計学の授業で、森宗央氏(SAPジャパン株式会社 テクニカルクオリティーマネージャー)及び西田雅彦氏(マークス税理士法人 代表社員)にご講演いただきました。ゲストスピーカー2名というあまり例のない授業であるため、統一のテーマを1つ、サブテーマを2つ定めました。統一のテーマを「会計システムが経営戦略に果たす役割」とし、森氏に「情報技術の発展とERPシステム」を、西田氏に「会計システムの役割」を講演いただきました。それぞれのシステムに関与されている現場の先生方から貴重なお話を聞くことができました。
【森宗央氏のご講演】
販売プロセスを例に、会計システムのみ導入する場合とSAPシステムを導入する場合の違いについて、具体的かつ詳細にフローチャートを用いて解説いただきました。多言語対応や各国の税務対応が可能なSAPのERPシステムは、グローバルに展開するグループ会社に導入でき、経営の効率化を図るとともに、経営戦略に必要な情報を迅速に集めることができますが、システム導入にかかるコストが大きく中小企業での導入は難しく、グローバル企業向けのものであるということでした。お金だけでなく物も一元管理するERPは、DXシフトにおいて記録する役割から、記録されたデータに基づく予測や最適化(過去の取引データに基づく需要予測と在庫最適化の例)が可能になることは大きな発見でした。日本でもDXの取り組みは進んでいますが、日米で差があるという指摘は、学生の皆さんにとって、何故DXが進まないのかを考えるきっかけとなったと思います。
【西田先生のご講演】
講義前半では、会計学を学ぶ意義及び経営学との関係についてご自身の公認会計士としての実務経験を踏まえてご講義頂きました。 授業後半では、デモシナリオを設定し、クラウド会計freeeのシステムを使って請求書発行や会計処理について実演してくださいました。コンパクトなERPでもあるfreeeは、その機能がシンプルでありまた導入コストも相対的に低いため、中小企業向けであることが分かりました。 生産管理や在庫管理がないといった制限があるものの、他のWebサービスとの連携などの拡張機能が用意されているため状況に応じてシステム構成を調整しやすく、またペーパーレスなどの効果も十分見込まれるため、多くのスタートアップ企業で使われているということでした。freeeは無料で試すことができるので、興味を持ち、試してみたいという意見も多かったと思います。
今後も国際経営学部では実務と経営学の研究の最前線におられる専門家や実務家との対話の機会を設け、探求心を刺激し視野を広げる学びを展開し、グローバルリーダーの育成に努めてまいります。
森先生のご講演の様子
西田先生のご講演の様子