2023年6月5日、国際経営学部「ダイバーシティマネジメント論」(担当教員:本学部教授 堀眞由美)において、NTTコムエンジニアリング株式会社サービスネットワーク部テクニカルマネジャー岡田譲氏をお招きし、「情報通信業界におけるダイバーシティマネジメントの取り組み」についてご講演いただきました。
国際海底ケーブル運用チームのダイバーシティマネジメントに加え、全社的なSDGsへの取り組みの一環としてアフリカのマラウイ訪問のご経験をご紹介いただきました。日本と世界をつなぐ国際海底ケーブルを、24時間365日監視運用保守しているCable Network Operation Center(Cable NOC)は、11ヵ国のメンバー(外国籍7割)で構成されています。国籍、年齢、宗教等のバックグラウンドが異なるメンバーが、お互いを尊重し合い、認め合って、ダイバーシティ&インクルージョンを実現していることをお話いただきました。さらに、グローバル社会で必要な人材についてもご説明いただきました。多様化するグローバル社会での組織やチームのあり方を学ぶ良い機会になりました。
世界をつなぐ国際海底ケーブルが、衛星通信よりも利用率が高く、情報社会では欠かせないインフラとなっていること、海底ケーブルによる通信を途切れさせないよう、日々、徹底した対策や丁寧なメンテナンスが行われていることを伺い、学生達は驚いていました。当日は、見る機会がない海底ケーブルの模型をお持ちいただき、学生は実際に手に取り拝見することができました。
講義後半では、2023年3月SDGsの社内取り組み(社内公募)としてアフリカのマラウイ(Malawi)でのソーシャルビジネスのご経験をご紹介いただきました。現地でソーシャルビジネスを推進するには、ダイバーシティ経営の観点が不可欠であることを、現地事情を交えてお話いただきました。
講師 NTTコムエンジニアリング 岡田 譲氏
講義の様子
講義後の質疑応答
講義後の質疑応答では学生から次の質問があり、ご回答いただきました。
Q:「異なる文化を持つ国のメンバーと上手くやっていくにはどうすれば良いか?」
A: 「まずは相手のことを理解すること。理解しようと努めること。日本の基準、考え方が正しいわけではない。色々な考え方、価値観がある、それがダイバーシティー。時間に関しても、緩やかな時間が流れている国もあり、日本のように、秒単位、分単位で正確に動いている国は珍しい。違いを受け入れることも大切。日本人は時間に厳しいが、緩やかな時間の流れの国もあるので、日本人にとってはストレスが溜まることも多いと思う。その場合は、上手くリフレッシュすること。」
Q:「海底ケーブルの管理方法や切れた場合の対応方法について」
A:「海底ケーブルの管理運営は、コンソーシアムのメンバーで話し合って決めることになる。日米間であれば、日本又は米国が責任を持って管理(モニタリングや修理の指示等)する。日本が管理する場合は、NTTコムエンジニアリングのCable NOCが管理し、ケーブルのモニタリングを行い、ケーブル障害時に、故障点を探索して、日本と米国の海底ケーブル陸揚局(Landing Station)及びケーブル修理船等の関係者と協力して修理を行う。」
Q:「寄贈されたPC端末は、マラウイでは通信出来るのか?端末を渡しても何に使って良いのか分からないのでは?」
A:「マラウイには、TMNとAirtelというキャリアがあり、モバイルのAirtelが結構品質良く、田舎でも通信出来る。
ただ、現地の人の収入に対して端末や通信料金が高いため、費用が払えないという課題もある。また、端末を渡して終わりでなく、「誰に?何を?何の為に?どうやって?」提供するかを考え、ICT教育まで含めて、現地の人達のためになるようにしたいと考えている。」
今後も国際経営学部では、実務の最前線で活躍されている専門家の講義や対話の機会を設け、探求心を刺激し視野を広げる学びを展開し、グローバルリーダーの育成に努めてまいります。