理工学研究科
三つの方針
学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
理工学研究科において養成する人材像
理工学研究科では、建学の精神「實地應用ノ素ヲ養フ」に基づく「実学重視」教育の立場から、理学、工学及びその関連諸分野に関する理論並びに諸現象にかかる高い研究能力と広く豊かな学識を有し、専攻分野における教育研究活動その他の高度の専門性を必要とする業務を遂行することのできる人材を養成します。その意味するところは、科学技術分野の諸課題、並びに現代社会が抱える複雑な課題に対して、新しい視点を持って自ら取り組むべき問題を明確化し、その問題を多面的に考察し、最適な解決策を見出すこと、そしてそのような能力の向上に向けて継続的に努力する姿勢を持つことのできる人材の養成です。また、産業界で働く社会人に対しては、各専攻が関与する専門分野の学習・研究能力向上の機会を提供することで、より高レベルの技術課題解決能力を有する人材を養成します。
理工学研究科を修了するために身に付けるべき資質・能力
次の8つの資質・能力を獲得しているものとします。
・コミュニケーション力:様々な説明の方法や手段を駆使し、意見の異なる相手との相互理解を得ることができる。
・問題解決力:新しい視点を持って自ら問題を発見し、最善の解決策を選択し、計画的に実行できる。その結果を多面的に検証し、計画の見直しや次の計画に反映することができる。
・知識獲得力:継続的に深く広く情報収集に努め、取捨選択した上で、知識やノウハウを修得し、関連付け、他者が思いつかない形で活用することができる。
・組織的行動能力:チーム、組織の目標を達成するために何をすべきか、関係者の利害を複数の視点から幅広く考慮したうえで適切な判断を下し、自ら進んで行動を起こすだけでなく、目指すべき方向性を示し、他を導くことができる。
・創造力:知的好奇心を発揮して様々な専門内外のことに関心をもち、それらから着想を得て科学技術の発達に貢献するような独自のアイディアを発想することができる。その際、関連法令を遵守し、倫理観を持って技術者が社会に対して負っている責任を果たすことができる。
・自己実現力:自らを高めるため、常に新しい目標を探しており、見つけるとその達成のために最短の道筋を考えてそれをたどるために努力する。失敗してもあきらめず、繰り返し挑戦する。
・多様性創発力:多様性(文化・習慣・価値観等)の相互理解を得て適切に対応しつつ、自分が何を望むか、まわりが自分に何を望んでいるのかを総合的に判断し、行動できる。加えて、複数人の協同により、相乗効果を生み出すことができる。
・専門性:専攻に応じた専門性を身に付けている。(詳細は、専攻ごとに別途定める)
理工学研究科の修了に必要な学習量と修了要件
博士課程前期課程を修了し、修士の学位を取得するための学習量と修了要件は次の通りとします。
・博士課程前期課程に2年間以上在学すること。ただし、研究科委員会が優れた研究業績をあげたと認めたものについては短縮されることがある。
・修了に必要な単位となる授業科目を論文研修(計12単位)を含めて30単位以上修得すること。ただし、優れた研究業績を上げて早期に修了する場合は、論文研修第一(都市人間環境学専攻は第一及び第二)を含めて30単位以上修得すること。
・2年間に相当する内容の研究を行った成果を論文にまとめ、修士論文の審査および最終試験に合格すること。
博士課程後期課程を修了し、博士の学位を取得するための要件は次の通りとします。
・博士課程後期課程に3年間以上在学すること。ただし、研究科委員会が優れた研究業績をあげたと認めたものについては短縮されることがある。
・特殊論文研修Ⅰ(一年次)、特殊論文研修Ⅱ(一年次)、特殊論文研修Ⅲ(二年次)、特殊論文研修Ⅳ(二年次)、特殊論文研修Ⅴ(三年次)、特殊論文研修Ⅵ(三年次)の6科目12単位を修得すること。
ただし、優れた研究業績を上げて早期に修了する場合は、以下の通りとします。
二年半で修了する者は10単位(特殊論文研修Ⅰ~Ⅴ)、
二年で修了する者は8単位(特殊論文研修Ⅰ~Ⅳ)、
一年半で修了する者は6単位(特殊論文研修Ⅰ~Ⅲ)、
一年で修了する者は4単位(特殊論文研修Ⅰ~Ⅱ)
を修得すること。
・3年間に相当する内容の高度・先導的な研究を行った成果を論文にまとめ、博士論文の審査および最終試験に合格すること。
活躍することが期待される卒業後の進路
理工学研究科の修了後は、人間社会の発展と人々の幸福の増進のため、理工学の高度な知識と未来志向の技術を社会に還元することが期待されます。企業における高度かつ先導的な技術者・研究者・管理職・経営職、公的機関における高度かつ先導的な技術系専門職・管理職・経営職、大学及び研究所の研究・教育職・経営職、工業系高等専門学校・高等学校・中学校における教員などの職が進路として考えられます。
教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)
理工学研究科において展開するカリキュラムの基本方針・構成
修了時点で求められる幅広さと奥深さをもつ知識とそれを高度に活用するためのコミュニケーション力、問題解決力、知識獲得力、組織的行動能力、創造力、自己実現力、専門性を確実に身につけられるよう、各専攻にはそれぞれの専門分野に特化した科目を設置します。特に、博士課程前期課程における論文研修では教員の助言に基づいて、自立した研究に取り組み、博士課程後期課程における特殊論文研修では教員の助言を得つつ、自立した研究を実践します。また、幅広い識見を身につけるために、一定の範囲内で、本学内の他専攻科目、他研究科科目、オープンドメイン科目を履修可能とします。さらに単位互換協定を結んでいる他大学院の授業科目や留学等による認定単位の制度を設けます。加えて、学際的融合分野の学習のために、副専攻科目を設置します。異なる専門分野を専攻する際の基礎的知識を充実させるために、学部・大学院共通科目として自由科目を設置します。
カリキュラムの体系性
講義科目では高度な専門知識の獲得と問題解決力の伸長を目的に、専門分野について最新の知識を多角的に学ぶことができます。また、論文研修では、高度な研究への取り組みを通して、課題の発見から解決方法の提案と検証、情報の発信までを深く体得し、コミュニケーション力、問題解決力、知識獲得力、組織的行動能力、創造力、自己実現力、多様性創発力、専門性を総合的に、かつ高いレベルで身につけます。さらに、副専攻では、複数の専攻にまたがる領域の講義科目と特別演習科目を通じて広く豊かな学識と、その応用に資する素養を涵養することができます。異なる専門分野を専攻する際に必要となる基礎知識については、自由科目の履修により充実を図ることができます。オープンドメイン科目では、理工学分野に限らず、社会科学・人文科学を含めた広い分野にわたる学修ができます。
カリキュラムの特徴
主専攻科目においては、修了生が科学技術の第一線で活躍する力を身につけることを目指し、高い研究能力と広く豊かな学識を教授できるカリキュラムを展開しています。また、学際的な性格をもつ最先端のトピックを体系的に学ぶ教育プログラムとして副専攻を設置し、主専攻と異なる分野の研究アプローチや当該分野の専門的知識の修得を図っています。さらに、研究と実務融合による高度情報セキュリティ人材育成プログラムなどの、他大学院との単位互換によるスペシャリスト育成プログラムを設置して、高度専門職業人育成を進めています。
入学者の受入れ方針(アドミッション・ポリシー)
理工学研究科の求める人材
理工学研究科は、将来の科学技術基盤を担う研究者・技術者の養成をすべく、基礎に重点を置きながらも最先端の理論と技術を修得するための教育を提供しています。また、実学を念頭におき、産学連携教育、産学連携研究を通じて、価値観の多様化、研究領域の多様化を考慮した創造的視点からの問題解決能力の育成、早期に社会的貢献ができる人材を輩出することを目標としています。そのために、以下のような人が積極的に入学することを期待します。
・国際的第一線で活躍できる研究者・技術者となりたい人
・広い視野と学部で修得した基礎学力の充実を深めて、より高度な専門知識と研究遂行能力を修得したい人
・深く広い思考力と問題発見・定式化能力に基づく先端的研究能力を向上させるための理論と応用力を修得したい人
・高信頼性を保持した、安全で豊潤な社会情報基盤を築くことに関心のある人
・理工学の分野だけでなく、社会科学・人文科学との連携も視野に入れた境界領域の学問分野に関心のある人
以上の共通基盤として、学部卒業水準以上のコミュニケーション力、問題解決力、知識獲得力、組織的行動能力、創造力、自己実現力、多様性創発力、ならびに専門性を発揮しており、入学後も自らそれらを向上させる意志を有することが求められます。
入学前に修得しておくことが望まれる学修内容・学力水準等
博士課程前期課程においては大学理工系学部卒業程度の基礎学力が必要で、博士課程後期課程においては博士課程前期課程修了程度の基礎学力が必要です。特に、それぞれの専門分野においては、専門知識および応用力を持ち、発揮できることが望まれます。