国際経営学部

【国際経営学部】専門演習IV(担当:国松麻季)Field Studiesをカンボジアで実施しました

国際経営学部の専門演習IV(担当:国松麻季)では、「グローバル経営と法制度、政策の関わりを現場から学ぶ」という方針のもと、3期生12名の学生が2020年の専門演習開設以来初の海外研修を実施しました。

カンボジアは自然と若い労働力が魅力的な国です。現地訪問ではカンボジ

アでのビジネスを間近に感じ、参加学生にとって非常に貴重な経験となりました。

8月14日・15日にプノンペンにおいて実施した企業・機関訪問の概要と学生の所感は以下のとおりです。


 

リリー・フード・インダストリー社(Lyly Food Industry Co., Ltd.)は、国産原材料で米菓を製造している食品会社です。亀田製菓とも合弁会社を設立しており、日本品質の菓子をカンボジア現地で生産し流通を行っています。当訪問では工場内に入り、お菓子がジャスミンライスから出来上がって梱包化される製造ラインを全て見学しました。歓迎くださった創業者オクニャ ケオ・モム様の信念を受け継がれた現CEOであるイング・チブリー様から、カンボジアの子供たちに栄養を届けたいという思いを伺い、高い社会貢献への意欲に感銘を受けました。

産業科学技術イノベーション省(Ministry of Industry, Science, Technology & Innovation)は、製造業やサービス業を営む中小企業の発展を促進する政策を通してカンボジア全体の経済成長を支える役割を担っています。カンボジアでは中小零細企業が雇用創出とGDPに大きく貢献している一方で、ビジネスが公式に登録されていない、金融機関へのアクセスが欠如している、従業員の技術向上の機会が乏しい等の問題を抱えています。そこで免税などの優遇措置や、銀行からの融資を奨励する、開発パートナーへトレーニングプログラムを提供するなど、カンボジア経済をより持続的で確固たるものにしています。

ジェトロ・プノンペン事務所様写真

 

日本貿易振興機構(JETRO)プノンペン事務所は、カンボジアの魅力と事業の行いやすさを日本に発信することで、カンボジアでビジネスを興す投資を積極的に誘致しています。カンボジアの良好な気候や若い労働力といった特徴や、長年開発に注力してきたインフラを活用して、タイプラスワンとしての地位を確立することにも貢献されているそうです。シニア・アドバイザーの大西俊也様は「日本からのカンボジアへの認知が低く、もっと知ってほしい」と仰っていました。当訪問を通して、日本企業がカンボジアの魅力と現状を深く理解することは、新たなビジネス機会の創出に繋がるのではないかと感じました。

また、プノンペン経済特区社(PPSEZ)運営会社であるROYAL GROUP PHNOM PENH SEZ PLC.と、特区内に拠点を構えている3社に訪問させていただきました。経済特区とは経済発展のために税制面や規制面の優遇措置が与えられている地域のことで、PPSEZに入居している全企業のうち約4割を日系企業が占めています。PPSEZの運営について、入居企業へのアプローチとして税務負担の軽減が規定されているものの、他の経済特区でも同様の取り決めが行われているためアフターケアを充実させて差別化を図ることの重要性や、入居企業による評判が広がることで新たな入居企業の増加に繋がっていくという仕組みなど、実情は大変興味深いものでした。

PPSEZ内で訪問した3社の企業はフットマーク社、佐藤商事、豊田通商マニュファクチャリングであり、いずれも会社に関するお話を伺うほか工場の製造ラインや倉庫なども見学させていただきました。フットマーク社は細かな製造プロセスによって作業担当が分かれている労働集約型の製造ラインで、従業員の方々が布の裁断や縫製、輸送準備等を手作業で行っている様子を見学し、そのスキルの高さは印象的でした。佐藤商事では輸出入業の部品を管理している倉庫を見学し、日系企業の物流ハブとしてのカン

ボジア進出を肌で感じることができました。豊田通商マニュファクチャリングでは自動車の車体とタイヤのドッキングなどがスタッフの方々の手によって行われている様子を見学し、緻密な作業工程を経てようやく一つの製品が完成しているということを再認識しました。この3社の訪問・見学を経て、私たちが普段何気なく使用している製品が手元に届くまで、いかに多くの人々が関わっているのかを身をもって理解することができました。

クメール美術があしらわれているアンコールトムの壁画

なお、合宿中盤では首都のプノンペンからシェムリアップへ陸路で半日ほどかけて移動しました。交通量が多く、国の公的機関や大使館があり政治、経済、ビジネスの中心地として活気があるプノンペンと、比較的小さく落ち着いた雰囲気の町で、カンボジアの歴史が感じられる寺院や遺跡等の観光の拠点として栄えているシェムリアップの違いを目の当たりにしました。そして、世界遺産のアンコールワットやアンコールトム、タプローム遺跡などの文化視察も行いました。やはり実際に目にすると、アンコール遺跡群の壮大さに圧倒され、クメール美術の精巧さに感動しました。

今回のカンボジア合宿を通して、皆様の熱意を持って真摯に仕事に向き合う姿勢を肌で感じました。また、海外で働くことの苦楽について学び、来年度に社会に飛び立つ我々3期生にとって非常に有意義な機会となりました。この経験を糧に今後も更なる成長に向けて邁進して参ります。

(担当:国際経営学部4年 若林優美、高橋七帆)