国際経営学部の2022年度専門演習II, III, IV, V(担当教員:本学部教授 山田恭稔)では、ゼミ・テーマ「アジアの地域社会と持続的発展」の下、4年生13名が卒業研究を、3年生2名がフィールドでの調査を含むグループ研究を行ない、この程、それらの研究をまとめた各年次ごとのゼミ論文集が完成しました。なお、13編の卒業研究論文は国際経営学部の規定に則って全て英文で執筆され、その論文集は計616ページになりました。一方、グループ研究に携わったこの3年生たちは、FLP国際協力プログラム下の山田ゼミ「開発社会学を通して東南アジアを捉える」演習Bの学生たちと合同で研究を進めました。
4年生の卒業研究では、各自の関心事に基づいたその学生ならではのユニークなテーマがそれぞれ設定され、研究と論文執筆が粘り強く進められました。研究対象の事例として扱われた国は、日本(6件)、ラオス(3件)、ネパール(2件)、カンボジア(1件)、フィリピン(1件)と多岐に亘りました。これらの卒業研究の内、先行研究レビューや分析などの二次資料のみに基づくものもあった一方で、二次資料だけではなく、聞き取り調査も実施(5件)、アンケート調査も実施(2件)、現地踏査も実施(1件)と、様々な研究手法が活用されました。このことは、当事者あるいはそれに近い存在である関係者から一次データを自ら実際に収集して分析するという、当ゼミが専門演習の初期段階から重視してきたフィールドワークに対する姿勢が多くの研究で貫かれたことも意味しました。
これらの研究に関連して、聞き取り対象先およびアンケートの回答者の方々には、ご多用の中、ご快諾ならびにご協力をいただきました。厚くお礼を申し上げます。
3年生のグループ研究では、「ラオスの農村における農家自身の気づきと決定の重要性」をテーマとした農村開発班が、研究計画書の作成を含む企画・計画、先行研究レビューや質問票作成を含む準備、インタビューなどの調査の実施、調査結果の分析、研究結果の取りまとめといった様々な作業に、昨年4月からの約10ヶ月間(一部は夏季休業中を含む)をかけてじっくりと取り組みました。
特にインタビュー調査の実施に先立っては、研究計画書を作成し、それに基づいて各調査対象へインタビューを依頼し、それぞれのインタビュー調査に適切な質問票を予め作成するという手順を踏む必要がありました。外部との交渉や調整では適切な姿勢も求められつつ、この手順を踏みながら、農村開発班では、国際協力機構(JICA)がラオスで実施した「サバナケット県における参加型農業振興プロジェクト(Savan PAD;2022年6月終了)」に関わった元JICA専門家3名、元現地カウンターパート1名、元現地プロジェクトスタッフ1名に対してリモート形式での聞き取り調査などを実施し、一次データを収集することもできました。これらの方々にも、ご多用の中、ご快諾ならびにご協力をいただきました。心からお礼を申し上げます。
このグループ研究に携わったゼミ3年生たちは、大きな学びを経験しました。班内で議論を重ね、さらにゼミ内で切磋琢磨し合う研究活動のあり方を体験し、研究過程での様々な重要な事柄を身を持って認識しました。ゼミ生たちが経験した学びは、ゼミでの今後の研究に活かされることと同時に、ゼミ全体の経験知・実践知として蓄積され引き継がれることが期待されています。
13編の卒業研究論文(英文)が収められた卒業論文集
完成した卒業論文集および3年次論文集
国外出張中の元JICA専門家からリモート形式で聞き取りを行なう3年生たち