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吉田 沙織

プロフィール

学科学年 法律学科4年
出身地 岩手県
出身高校 岩手県立盛岡第一高等学校
趣味・特技 ランニング・水泳
キーワード 公務員 ボランティア Uターン就職
掲載年月日 2017年11月22日

中央大学法学部を選んだ理由を教えてください。

 中学時代の生徒会活動や公民の授業をきっかけに、私たちの暮らしや社会の発展を支えるルールとしての法について興味を持ち、その成り立ちや解釈、紛争解決に向けた運用について学びたいと思うようになりました。  その中で中央大学法学部には、リーガルマインドを身につけるためのカリキュラムが整っていること、各界の第一線で活躍されている先生や先輩がたくさんいらっしゃることから、進学を決めました。自然あふれる落ち着いた多摩キャンパスで、4年間じっくりと学修に取り組めることも決め手の一つとなりました。

法学部での学びについて。特に興味を持って受講した授業や、力を入れて学んだことについて教えてください。

 社会問題について、様々な角度から自分の頭で考えたり議論したりする力をつけたいと思い、一般教養や基本となる七法に加え、刑法総論の重要問題の研究を行う「実定法基礎演習」や、法律事務所で働く弁護士のもとで実際の業務を体験する「インターンシップⅣ(法務インターンシップ)」、英語でディスカッションを行う「英語(A)」などの演習形式の授業に力を入れてきました。  中でも力を入れたのは「法律専門職養成プログラム」です。教授や実務家、高い志を持った仲間と議論しながら、判例を丁寧に掘り下げて検討してきました。このプログラムを通じて、法律の解釈だけではなく、問題点の抽出や分析方法、実務での考え方を学ぶことができました。課題と毎週の論文作成がハードでしたが、判例を深く読み込むことの面白さや楽しさを実感した授業でした。  一般教養では、生命倫理について考えを深める「倫理学」が興味深かったです。安楽死や戦争、口減らしなど、国や時代を越えた幅広いテーマが取り扱われました。問題点を共有したうえで、自分の頭で考えることを強く意識した授業でした。私の出生地である岩手県遠野市が、遠野物語で取り上げられた際には、現地調査をして先生と熱く議論したのを覚えています。

留学、奨学金受給などについてどのような活動をしてどのような学びがありましたか。

 3年次には学業成績や課外活動等を評価していただき、「学長賞・学部長賞給付奨学金」と「やる気応援奨学金(法曹部門)」をいただきました。このようなサポートのおかげで、集中して学修に取り組むことができました。  同じく3年次に、中央大学と台湾・台北大学との協定締結に向けた交流の一環として、台湾で行われた合同民法ゼミに参加しました。日本と台湾の民法の違いだけではなく、考え方のプロセスも学ぶことができ、大変貴重な海外研修となりました。日本語と中国語、英語が飛び交う空間は新鮮でしたし、第二外国語として取り組んできた中国語をもっと勉強したいと思うようになりました。将来の目標を明確に持つ台湾の大学生と意見を交わしたことは、大きな刺激となっています。

サークル等の課外活動について教えてください。

 1年次より、中央大学ボランティアセンター公認学生団体「はまぎくのつぼみ」に所属し、岩手県宮古市を中心に被災地復興支援活動に取り組んでいます。  大学進学を機に岩手から上京しましたが、2011年の東日本大震災で、生まれ育った東北や沿岸地域が甚大な被害を受けたことに対し、何もできない自分にもどかしさを感じていました。入学直後に中央大学には被災地の復興を支援する学生団体が複数あることを知って、東京という影響力のある大都市だからこそ、学生という立場だからこそ、できることがあるのではないかと思い、活動を開始しました。  岩手県宮古市では、地域のコミュニティ支援としての傾聴活動、子どもたちの遊びと学びの支援、企業や市役所でのヒアリング、フィールドワークなどを、大学の長期休暇期間を利用して行っています。  傾聴活動では、手芸やアクセサリー作りをしながら、何気ない会話で出てくる高齢者のお話をじっくりと受け止めながら聴いていきます。初回の訪問前には傾聴講座を受講したり、団体内で練習をしたりしましたが、実際にやってみると自分の視野の狭さと知識不足を痛感し、大変悔しい思いをしました。そこで傾聴に加えて、宮古市の歴史や方言、高齢者福祉や栄養学の勉強をするようになりました。また社会福祉協議会でのヒアリングを通じ、高齢者の認知症が急激な生活環境の変化やストレスをきっかけとして進行していることを知り、認知症サポーターの講習を受けました。このような自主的な学びを、活動やミーティングに反映させています。帰り際、「たくさんお話ができてなんだか心がすっきりした。私たちのことを忘れないでいてくれてありがとう。」と言われるたびに、傾聴活動の重要性を身をもって感じています。  また「震災を忘れないでほしい」、「観光地としての魅力を知ってほしい」との思いから、被災地の今を東京で発信する、活動写真展と物産展にも取り組んでいます。物産展の商品は、私たち団体メンバーが現地の製造元を訪問して、商品開発の経緯や工場再建等のお話を伺い、販売の交渉を行いました。大学内や商業施設での物産展の売り上げは、宮古市社会福祉協議会へ寄付しています。  団体代表のバトンは後輩に託しましたが、高齢化や人口流出等で課題先進地域となることが予想される宮古市に対し、後輩たちは地域のお祭りのお手伝いなど、新たなことにどんどん挑戦しています。これからも活動を続けていくとともに、後輩の活動を温かくサポートしていきたいと思います。

いま現在もっとも関心を持って取り組んでいることは何ですか。

 ボランティア活動と並行しながら、新井誠教授の「専門演習」で、12月に他大学と合同で開催する法律討論会に向け、準備に取り組んでいます。  ゼミのテーマは、高齢社会における民法の機能についてです。超高齢社会に突入し認知症高齢者の増加が見込まれる中、高齢者の意思を尊重しながら権利や財産を保護していくために、民法や信託を利用したアプローチを検討しています。3年次には、公益財団法人トラスト未来フォーラム主催の学生懸賞論文にゼミのチームで取り組み、優秀賞をいただきました。これまでのゼミ活動を生かし、集大成として法律討論会に臨みたいと思います。

卒業後の計画は何ですか。また、今後のキャリアプランとそれを含めた人生の夢やビジョンについて教えてください。

 様々な選択肢の中で、生まれ育った地元・岩手県に貢献していきたいとの思いから、公務員としてUターン就職をすることにしました。岩手県庁より内定をいただいています。  一度岩手県から出て外側から地元を見つめてみて、美味しい食べ物や自然、歴史、方言、祭りがあることは、とても幸せなことだなと感じるようになりました。それらの魅力を後世や国内外にも伝えていきたいですし、観光や産業を通じて人やものの流れをつくり、岩手県を盛り上げていきたいです。

中央大学の魅力とは何ですか。

 ボランティア活動はもちろんですが、質の高い授業・演習、海外研修、インターンシップ、奨学金制度など、視野や将来の可能性を広げてくれるきっかけがたくさんあることです。それを行動に移すためのサポート体制や図書館等の施設も整っていて、恵まれた環境で大学生活を送ることができたなと感じています。  多摩キャンパスでは文系5学部の学生が4年間過ごすため、横断的な学びの機会もあります。国内外から集まる学生たちと意見を交わして多様な価値観にふれることで、新たな気づきを得られるのも魅力の一つです。

受験生へのメッセージをお願いします。

 大学では自発性や主体性が求められるため、限られた4年間をどのように過ごすかは皆さん次第です。後悔のないように、貪欲になってチャレンジしていくことが大切なのではないかと思います。四季折々の表情を見せるキャンパスで充実した学生生活を送れるよう、心より応援しています。

最後に一言。

 思い切って地元を一度出て、中央大学で様々なことに挑戦した4年間は、私にとってかけがえのない宝物となりました。学部での学びや課外活動から、多面的に考える力をつけることができましたし、それをもとに議論を深めていく力もつけることができました。将来やりたいことも明確になりました。  この場をお借りして、いつも応援してくださった先生方・職員の皆様、ボランティア活動先の皆様、ゼミやボランティア活動を共にした仲間をはじめ、関係者の皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。