法学部

【活動レポート】溝際 英恵 (2001年入学・国際企業関係法学科)

活動データ

・アメリカ Law officeでのインターンシップ

・To work at DA’s office in the United States.

・2002年 2月4日~3月10日
Churchill County District Attorney’s Office in Fallon

・2001年度(英語分野)

活動概要

2002年2月20日~3月29日まで授業がありました。以下MLCのことについてです。

Feb. 4, 2002

成田からFallonに向けて出発。サンフランシスコで乗り換えでしたが、濃霧のため一時的にオークランドに着陸し、飛行場で8時間近く待たされました。テロの影響もあり検査にはかなりの時間を要し、靴までチェックされました。昼頃までにはFallonに着く予定でしたが、着いたのは夜中12時でした。

Feb. 6, 2002

地方検事事務所でのインターンとしての、初めての仕事の日。私が仕事を手伝わせていただくのはDAであるMr. Malloryの専属秘書のSusie。多くの仕事はSusieに教えていただき、毎日Susieにつきっきりで仕事をしました。
 今日は検事の一人であるTomについてDistrict Court(地方裁判所)にいき、傍聴席に座って裁判の様子をみていました。とても気さくな裁判官で、私がインターンとしてDAの事務所で働かせていただいているのを聞いて、裁判所内部の写真を撮ることまでも許可してくださいました。裁判はたいがい毎日行われており、この日から毎日裁判所にいきました。

Feb. 7, 2002

 Churchill Countyの地域委員会の話し合いがあり、地域問題について法的解決のアドバイスをするという、地方検事の仕事の一つのために地域委員会の話し合いに参加しました。この話し合いにはたくさんの市民の方が参加し、問題意識をしっかりと持って自分達の地域をよりよくしようと真剣に話し合いをしていました。議題は多岐に渡り、中には隣人の迷惑行為に関する条例を作るという問題があり、迷惑行為(例えば隣の犬が夜中に吠えてうるさくて眠れない場合)を行い、注意をしても改善されない場合は、$1000の罰金または6ヶ月の懲役または禁錮というものがありました。ここでは大変熱い議論が交わされ、私は議論の内容を理解するのに精一杯でした。Listening能力が足りないなと実感させられました。
 その後、District Courtに行き、これからの裁判予定の資料の受け取りなどをしました。
 午後からは、高校に行き、このインターンの仕事を紹介していただいた先生に1年半ぶりに会い感動しました。ほとんどの友達はFallonに残っていないため、Fallonを訪れてあえるのはMomと先生だけになってしまいました。

Feb. 8, 2002

今日は裁判が行われていなかったため、事務所でSusieや他の秘書達の手伝いをしました。私の仕事は主に、コピーをとったり、裁判のための資料作りでした。ほとんどのケースが今、争われているものばかりなので仕事をする上で知り得た情報は誰にもいわないように誓約書を書きました。DAの正式なインターンとしてのIDカードを作っていただきました。仕事をするとき、裁判所にいくときは、必ずつけます。FBIのIDみたいで、テレビの中でしか見たことがなかったので、ワクワクしました。私のはインターン用のIDですが、他のメンバーのIDは逮捕するのに影響を及ぼすくらいの効力のあるIDらしいです。

Feb. 9-10, 2002

週末はしっかりと休みです。高校のときの友達に会うことができました。久しぶりだったのに、あのころ何も変わってないためか、なぜだか高校時代に戻ったようでした

Feb. 11,2002

裁判専門の新聞記者である、Marineが日本人がDAの事務所で働いているのはとても興味深いといってインタビューを受けました。日本の法システムの話や、自分の将来の事、大学についてなど、たくさんのことを聞かれました。結構緊張してしまい、写真は顔がひきつってしまいました。違う国の人に、自分の国のことや、法システムについて説明することはすごく難しいことに気づきました。理解しているつもりでもなかなか難しいものです。もっと勉強が必要です。

Feb. 12,2002

Russelという検事は少年犯罪専門で、今日は彼についてDistrict Courtにいきました。少年犯罪は一般、また新聞記者の方の立ち入りも禁止していますが、インターンシップということで、DAの事務員の一人として特別に少年犯罪の裁判にも立ち合わさせていただきました。私が滞在していた間だけでも、何件もの少年による犯罪の裁判があり、それらの多くはとても悲しいケースでした。日本でも少年犯罪裁判に立ち会うことはできないので、大変良い機会でした。

Feb. 13,2002

裁判が行われていなかったので、事務所で資料作りの仕事に専念していました。

Feb. 14,2002

District Courtに行き、親権をめぐる裁判を傍聴しました。アメリカにおいて、その人がどれだけ信頼されているかを計る物差しの一つとして、その人が仕事を持っているかどうかが問われます。今回も父親が仕事をしているかどうかが問題になり、父親は相手の弁護人の質問に憤慨して、裁判の途中であるのにもかかわらず退出してしまい、裁判官をはじめ、弁護士、傍聴席に座っている人々はあっけにとられてしまいました。母親もドラッグをやっていたという事実もあってなかなか難しい、興味深い裁判でした。

Feb. 16-18, 2002

週末と祝日は、host momと買い物にいったり、高校のときの友達にあったりしました。

Feb. 19, 2002

15件くらいの裁判がDistrict Courtでおこなわれ、Mr. MalloryとTomについて裁判傍聴をしました。その中には、陪審員に選ばれたのにもかかわらず、裁判当日に来なかった人たちに対するものもありました。

Feb. 21,2002

この前にインタビューをうけた記事が新聞にのりました。3ページに渡る長い記事を書いていただいてとてもうれしかったです。事務所の皆さんもよろこんでくださいました。
 RusselについてJustice Courtにいき、Status Hearingという裁判に持ち込むか、その前に和解するかを決める話し合いを相手側の弁護人とするのですが、そのStatus Hearingに立ち合わせさせていただきました。弁護士にもいろいろな人がいるなあと思いました。

Feb. 22, 2002

高校以来の友達で、ドイツからの留学生だったFlorianは現在national guardに入っていて、飛行機の運転免許を持っているので、飛行機に乗せてくれました。道のないような場所まで連れて行ってもらい、住んでいたところを違ったところから見ると、まるで全く別の州かと思うくらいで、とてもきれいでした。

Feb. 23-24, 2002

host momのJoJoの妹のArianがパーティーを開いてくれました。私の大好物だったものを覚えていてくれて、turkey, sweet potatoesや、dressingsといったアメリカならでの食事に懐かしさをおぼえました。やっぱり、アメリカの食事が大好きです。

Feb. 27, 2002

Justice Court(治安判事裁判所という小事件の裁判や、重大事件の予審を行う下級裁判所)にRusselといきました。この日は、離婚裁判が行われ、Russelに裁判以外のことを話して、家族の不安感を取り除くようなことをしてほしいと、頼まれ、日本のことや、どうして私がここでインターンとして仕事をしているかといったようなことをはなしました。先日新聞に掲載された私の記事を読んでみえたためか、会話が弾みました。Russelにはこの裁判は途中で喧嘩が始まってしまうかも知れないようなひどい裁判になるかもしれないといわれていましたが、スムーズにことが運んでよかったです。
 この日に、Russelにいわれた言葉は、今でも心に残っています。
 “Always be a good friend of the clerks and Judges. And always keep them happy. It makes your life easier.” By Russel

Feb. 28, 2002

今日はFallonで働く最後の日でした。DAの皆が私に内緒でCardを書いていてくれて、それをもらったときには感動して涙がでそうでした。私は前にここの検事の皆さんに、どうして検事になろうと思ったのか、検事になってこの仕事をして満足しているか?というような質問をしました。それを私が忘れることがないように、手紙で書いてくださいました。
 裁判が行われていなかったため、私の事務所での仕事は比較的簡単なものしかありませんでした。
 このDAの事務所で働いている検事たちは、それぞれが違った考え方をもって検事として働いていますが、彼らはみんな、困っている人を助けたい、そう思って働いています。彼らはみんな、検事として働き、本当に困っている人を助けるということに誇りにおもっており、そして検事であることがとても幸せであるといっていました。 District Attorney である、Artは次のことを必ず守っているそうです。
 “We work for innocent people. Do not prosecute until you ARE totally convinced that person has done something should be prosecuted.”
 どんなに大変な仕事でも、どんなにストレスがたまるような時でも、困っている人を助けたいという彼らの正義感で乗り越えているそうです。裁判所での検事たちは本当にHeroのようでした。
 このDA’s officeで働くことができ、かついろいろな人に会って、いろんなことを教えていただき、本当によい経験ができました。

活動の成果

この経験を通して、検事としての仕事や裁判の流れというものを見れただけではなく、実際に事件や問題に直面している人たちにあい、彼らの人生を左右する仕事をする裁判官、検事、弁護士の仕事の大きさ、大切さを肌で感じることができ、彼らに対する憧れというものは前にも増して、大きなものとなりました。
 また彼らの仕事を見ることができ、この世界の仕事により強い興味を抱くようになりました。予想していたより多くの回数(ほとんど毎日)裁判所に同行させていただき、いろいろな種類の裁判を見学することができ、弁護することの難しさ、判決を下すことの重大さ、難しさというのを実感しました。
 私が驚いたことのひとつとして、裁判所の雰囲気が思っていたより明るかったことです。裁判所では、裁判の行われていないときは、裁判官、検事、弁護士が仲良くしゃべったりしているのです。
 当初の目標のひとつであった、法律の専門知識および、専門用語の習得は、この体験を通して、たくさん学ぶことができましたが、やはり、自分で学習することの大切さを実感しました。日本でも学ぶことができるようなことは、しっかり自分で学習する必要があると思います。
 DAの事務員としてIDカードを発行していただき、Juvenile cases(少年裁判)についても見学させていただけたのが印象深かったです。あたりまえのことかもしれませんが、裁判で、囚人服を着て、手錠をかけられている人が、自分の横に座っているとドキドキしました。

今回の活動についての感想

大変満足の行く体験をさせていただき、DAの事務所の方々、host momのJoJo、Rod Maskew、そして中央大学の先生方皆さんに本当に感謝しています。
 法曹の仕事に興味があったものの、実際に彼らの仕事を間近で見る機会がなく、彼らのイメージというものはあいまいで、かっこいいなという憧れしか抱いていませんでした。しかし、今回の活動を通して、生の検事の仕事に触れ、改めて検事、そして彼らの仕事に魅了されました。また、彼らの仕事、法システムといったものを学ぶために行ったのですが、この体験を通して、それらのことを学べただけではかく、自分の将来をもう一度考えなおすことができ、私にとって奥の深い一ヶ月でした。

 裁判官のMr. Estes とお話する機会があり、次のことをいわれました。

 “私は、物理の先生をやっていて、35歳の時にどうしても法律の勉強がしたいと思い、家族や生活があったけれども、その年からロースクールに通い始め、裁判官になった。司法試験とはこの世の中にある資格試験で、最も難しいもののひとつであるけれども、司法試験が難しいのは、その覚えることがたくさんあって大変だから難しいだけではなく、受験者が色々な分野におけるエキスパートでなければならないから、難しいのだ。
 将来法曹になったとき、あなたが、裁判官、検察、弁護士、どの仕事につくかはわからないけれども、みんなが同じように持っている気持ちは、困っている人を助けるということです。そのとき、法律上の知識を並べただけでは、困っている人を助けることなんかできない。例えば、スポーツに関する訴訟では、スポーツに関する知識が絶対に必要であるし、音楽についてもどうようのことがいえる。
 そして、なによりも経験が必要である。勉強だけ、文章の上のことだけを頭につめこめば、司法試験に通るかもしれない、しかし、経験のない人に人を救えない。将来というのはずっと続くのだから、人生のどこで自分の本当にやりたいことを見つけて、進む道を変えたって遅いということはない。ただ、今のうちにできることをして経験をつんでおきなさい。そして、ひとつの物事を色々な視点から考えられる人になりなさい。”

 と言われました。今まで早く将来のことを決めて、早く就職したいと考えていた自分がなんだか、すごく小さい気がしました。Mr. Estesには自分の将来についてじっくりと考える機会を与えてもらったきがします。帰るころには、私は日記の中で、ここを離れるのは休日にどこか出掛けにいって、結局ここに戻ってくるような、ここが私の本当の家であるような気がしてなりませんでした。そのくらいDAの事務所で働くのにもなれ、楽しんでいました。
 毎日の仕事を通して、彼らの仕事を学び、裁判官や検事の個人的な話を通して、人間性というものを学ぶことができました。短い間でしたが、とても意味のある、有意義な春休みでした。

今回の活動をどのように生かしていくか

今回の体験を通して大変多くのことを学ぶことができました。その中で、自分に足りないもの、勉強量、勉強に対する意欲、教養、英語力、法律の知識、アメリカの法システムについて等々、もう一度しっかりと学習する必要があると思います。また、私が今回学んだことは法曹になるにしても、ならないにしても大切なことばかりなのでしっかりと頭に入れておく必要があります。
 私は、将来的にはもう一度留学したいと考えています。アメリカのロースクールに行きたいと考えているのですが、今回実際に検事の仕事を間近で見せていただき、その時に感じた、彼らへのあこがれは決して忘れないように勉強に励みたいです。今回何回も裁判所で傍聴させていただき、裁判所の方々とも仲良くなることができました。もし機会があれば、裁判所でインターンシップをやらせていただけるということなので、機会があればアメリカに戻りたいです。今回はすべての裁判を検事側の立場から見させていただきましたが(事件の説明をしてくださったのがDAの事務所方だったので)、もし次回に裁判所や、弁護士事務所で働かせていただくことができれば、ひとつの事件もいろいろな視点から考えられる力が身につけられるかもしれません。
 法曹に抱いていた、漠然とした憧れが今回の体験を通して、もっとはっきりとしたものになりました。それをモチベーションとしてこれからの勉強に励み、いつかは彼らの仲間入りができるようになりたいです。

後輩達へのアドバイス

There must be many things you can learn wherever you may go. (You will learn more when you made mistakes.) Make the best use of it!! Make lots of friends and keep in touch with them as long as possible. And good luck!

その他

 高校時代に留学していたので、その時にお世話になった先生に今回も法律に興味があるから、弁護士事務所のようなところでインターンシップをやりたいので、知り合いがみえれば紹介してくださいと頼み、今回も大変お世話になりました。