法学部

松沢成文参議院議員(前神奈川県知事)が茗荷谷キャンパスで特別講義を行いました

特別講義を行う松沢参議院議員

1月11日(木)、松沢成文(まつざわ・しげふみ)参議院議員(前神奈川県知事)による特別講義を開催しました。「地方政府論2」(担当:礒崎初仁教授)の公開授業です。

「地方政治の可能性と日本の課題-神奈川県政8年の改革」をテーマとして、松沢氏から次のような話がありました。

 

【講義のあらまし】

・選挙で求められるものは、①知名度、②資金、③組織が挙げられるが、本当に大事なのは、④「政策」であるべきだ。

・私は、2回の知事選挙で、数値目標を含めて具体的な政策を示した「マニフェスト」を掲げて当選した。就任当初は、県議会の多数派とは激しく対立したが、次第に県議会も政策の必要性を認めて、マニフェストの8割は実現できた。

・例えば受動喫煙防止条例の制定。海外に行くと飲食店やホテルは禁煙なのに、日本では野放しのため、マニフェストに掲げた。たばこ業界、飲食業界などは大反対だったが、県民の7~8割は賛成。様々な話し合いを経て、県議会も最後は認めた。全国初の条例だったが、東京都の条例や国の健康増進法の改正につながった。

・高校の日本史必修化は、海外の若者は母国の歴史を必ず学んでいるのに、日本では日本史が選択科目で、日中戦争も知らない高校生が少なくない。これでは国際世界では通用しないと思い、実現させた。いまは全国で「歴史総合」として必須科目になった。

・知事の多選禁止(連続4期以上の在任を禁止)は、民主政治では「権力の時間的分権」が不可欠と考えて提案し続け、県議会でもやっと可決された(未施行)。

・道州制や首都圏連合は実現できなかった。東京一極集中を打破するため、「文化機能」を地方に移すべきだ。たとえば皇居は京都に戻してはどうか。

・いま自民党の裏金問題もあり、政治不信が高まっている。政治改革には、政治活動資金の透明化のほか、国会議員の世襲制限(3親等以内の同一選挙区での立候補禁止)、衆院比例代表の重複立候補禁止、ネット投票の導入が必要だ。

 

学生の質問(事前提出の質問+当日の質問)にも、丁寧・率直に答えていただきました。

 

【学生との質疑応答】

Q1:議会の多数が反知事というアウェイの中で、どうやってメンタルを保てたのでしょうか?

 A:「県民と約束した政策だから、実行する権利も義務もある」「この旗は降ろせない」と思って押し通した。

 

Q2:知事多選禁止条例は施行されておらず、現在の黒岩知事は4期目を迎えました。どう評価していますか?

 A:この条例は、法律改正を待つ必要があるという意見もあって、別の条例で施行日を決めることになり、まだ施行されていない。ただ、団体の意思としては確定しているので、黒岩知事が4選を選択したのは残念だ。

 

Q3:なぜ政治家を志したのでしょうか。政治生活を振り返ってどう感じていますか?

 A:学生時代から政治に興味があり、松下政経塾で学んで28歳で神奈川県議に挑戦した。以来、衆院議員、県知事、都知事選への挑戦、参院議員といろんなことをやりすぎた感はあるが、信念は通してきた。後悔はない。

 

Q4:将来、政治の道を考えているが、アドバイスは?

 A:すばらしいことだが、政治の現実をみることも必要。議員インターンなどに参加するとよい。私も政治塾など次世代の育成に取り組んでいる。

 

Q5:国家公務員(総合職)か地方公務員かで迷っている。地方では過疎化も進むが、国と地方の違いは何か?

 A:官僚は、大臣・副大臣を守るために国会対応に追われている。地方は、補助金獲得のため相変わらず国に陳情しているが、明治時代は日本海側が栄えているなど特色があった。いずれの改革も必要。がんばってほしい。

 

公務ご多忙の中で、貴重なお話をいただいた松沢議員に感謝申し上げます。

 

文責:礒崎初仁(法学部教授)