国際情報学部

国際情報学部の授業において、政府CIO補佐官を講師にお招きし、講義が行われました

2020年11月19日

2020年11月17日、国際情報学部_iTL_の授業科目「情報政策ワークショップ」(担当教員:本学部教授 石井夏生利、特任教授 景山忠史)において、政府CIO補佐官 楠正憲様をお招きし、新型コロナ感染症対策におけるデジタルガバメントの取組と課題をテーマとした講義(オンライン)が行われました。
本科目は、競争政策と消費者保護、違法有害情報、サイバーセキュリティ、データ利活用促進といった大きなテーマの中から最新の事例を取り上げ、政策担当省庁の担当者も招いて政策立案の現場の動きを実際に聞きながら、現在の我が国における政策決定プロセスを踏まえ、どのような選択肢があり、何が実現のための課題であり、解決するための条件は何かなどについて考察します。

過去の回では、内閣官房及び内閣府、個人情報保護委員会から講師をお招きしています。
・10月22日_国際情報学部の授業において、個人情報保護委員会事務局から講師をお招きし、講義が行われました
・10月2日_国際情報学部の授業において、内閣官房及び内閣府から講師をお招きし、講義が行われました

新型コロナ感染症対策に際しては、特別定額給付金のオンライン申請や、接触確認アプリ(COCOA)の提供など、情報システムの利活用において様々な課題が表面化しました。COCOAにおいては、オープンソースコミュニティと連携した調達・開発が一部行われましたが、現在の政府情報システムの調達ルールでは、先進的なコミュニティの活動を政府のシステムに取り入れるリバース・プロキュアメントを想定していません。また、特別定額給付金の支給については、住民情報のオンライン申請処理の遅延や、自治体間での取り扱いの差異など、多くの批判もありました。
今後、政府では、来年にもデジタル庁を発足させ、政府・社会全体のデジタル化を加速化していく中で、国と地方の情報システムを大きく見直し、2025年度をめどに自治体システムの標準化と統一を目指すという目標を掲げるなど、デジタル・ガバメントが大きく動いていくことになります。

今回の楠様からのご講義では、COCOA開発時における政府内の対応や、オンライン申請において当初検討していたフローと実際に行われたフローの違い、2025年の自治体システム標準化に向けた検討工程、電子政府ランキング上位国を人口規模と法体系で分析した日本との違いなどを解説していただきました。
従来型開発を想定した政府の調達ルールや、数多くの既存情報システムも含むデータ連携の課題、様々な規模の自治体の業務実態とシステム統一に向けた調整等、様々な観点からのご紹介は、学生にとって、官公庁のデジタル化の経緯と現状を踏まえて今後の課題を検討する大きな契機となりました。

本科目の履修者は、今回の講演で得た知見と関係資料をもとに、次回以降の授業の中で、デジタルガバメントの推進に関する政策案についてディスカッションし、政策案の立案を行います。立案した政策案は、授業内で発表し、政策立案に携わってきた講師からの講評を受けることで、より実務的な政策立案能力の涵養を目指します。

iTLでは、本科目のみならず、発展著しい情報技術を活用したサービスを安全に社会に実装するために必要な「情報の法学」の知識を教授する科目を多数設置し、安心・安全な情報社会の構築を目指す学生の教育とその未来を担う人材の輩出に努めてまいります。