経済学部

経済学部「国際開発論(林 光洋)」でJICAによる特別講演会「アフリカの開発の現状と課題」を開催

2023年11月14日、経済学部の「国際開発論(担当教員:林 光洋)」の授業で、JICA(国際協力機構)による「アフリカの開発の現状と課題」というテーマの講演会が開催されました。 JICA理事長特別補佐の戸川正人様、同じく理事長特別補佐の中村俊之様、アフリカ部シニア・アドバイザーの乾英二様の3人がご講演くださいました。

まず、戸川様よりODA(政府開発援助)の意義と途上国開発や国際協力の仕事、その中でのJICAの役割や過去の事業などについてのお話がありました。ODA(政府開発援助)は途上国に対する一方的な支援というだけではなく、途上国から資源・エネルギーや労働力、食料を提供してもらうためにも必要なものであり、回りまわって日本に戻ってくるものであるということを説明してくださいました。第2次世界大戦後の日本も被援助国であったこと、東海道新幹線や東名高速道路などは世界銀行の援助で建設されたこと、その融資の返済が完全に終了したのは1990年であったことなどの説明もあり、学生は頷きながら真剣に聞いていました。

また、元人事部長の経験にもとづいて、JICA内の業務と働き方から、キャリアパス、求められる人材の資質、JICA海外協力隊(青年海外協力隊)のこと、PARTNERという国際協力分野の求人WEBサイトの紹介まで、途上国開発や国際協力分野で働くために知っておくと役立つことを非常に詳しく教えてくださいました。中央大学からは、これまでに450名ほどのJICA海外協力隊への派遣実績があり、先輩たちは村落開発/コミュニティ開発、コンピューター技術/PCインストラクター、理数科教師、日本語教育、青少年活動等の職種で派遣されていたということです。

続いては、乾様、中村様の順に登壇され、アフリカの開発の現状と課題についてお話しくださいました。乾様は元アフリカ部長、中村様は元南アフリカ事務所長であり、お2人はともについ先日までアフリカ出張に行っていらしたということで、非常に具体的に、アフリカという地域の特徴や暮らしぶり、経済・社会の現状、潜在性、課題、TICAD(アフリカ開発会議)と日本政府・JICAの取り組みなどを説明してくださいました。

「貧困」や「紛争」といったマイナスイメージが付きまとう大陸ですが、映し出された都市部の写真からは、高層ビルや充実した品揃えのスーパーマーケットなど、先進諸国と大差ない様子が伝わってきました。さまざまな統計データからも、その活気や勢いが示されました。今現在、農業の生産性が低いだけに、近代農業の技術を持ち込むことで大幅な生産量増大が見込めることや、英語を公用語にしている国が多いことからデジタル分野でもスタートアップ企業が生まれ、また海外からの直接投資も増加しているなど、ビジネスの可能性に満ちた大陸であるということが強調され、胸が踊る講演でした。

3限の講演が終了した後、林光洋ゼミのゼミ室へ移動して、プレゼンテーション大会を控えた3年生の、フィリピンでの現地調査にもとづいた研究の発表を聞いてくださいました。「アフリカ出張から戻る機内で資料を読みました」との言葉からも、とても真剣に学生たちに向き合ってくださっていることが伝わってきました。

長年国際協力の現場で活躍されていた視点から、またフィリピンでも活動していた経験から、当時のエピソードも交えつつ的確なコメントやアドバイスを提供してくださり、ゼミ生たちに大きな刺激と自信を与えてくださいました。学生たちは、JICAの3人の方々から貴重な機会をいただき、多くを学ぶことができました。