経済学部

50冊超を出版する報道のプロが台湾危機を解説。経済学部「金融論Ⅱ」特別講義にて。

2023年10月31日、経済学部の授業「金融論Ⅱ」(担当:近廣昌志(ちかひろ・まさし)准教授)において、株式会社文化放送の報道チーフプロデューサー、清水克彦様がゲストスピーカーとして登壇され、「台湾危機と国際情勢」をテーマに国際金融との関りを含めて情熱的な講演を行いました。
清水様は文化放送の報道デスクのほか、コメンテーターや大学講師としてもご活躍されており、現在に至るまで51冊もの著書を上梓なさっています。

経歴紹介の後、清水様はスライドに4枚の画像を映し出し、それについて思うところを問いました。「湾岸戦争」「9.11テロ~イラク戦争」「クリミア紛争~ウクライナ戦争」の写真と、「(今後起こりうると言われる)台湾有事」のイメージ図でした。学生の一人が「10年に一回、世界を揺るがす事件が起きている)」と答えました。
清水様はそれに頷くと、1.台湾とはどんな国か/2.台湾を取り巻く情勢と中国・習近平の野望/3.総統選を控えた台湾/4.日本など民主主義国家の備えは? の4つのアジェンダに沿って講演を始めました。

はじめに台湾の親日的な姿勢や経済的な繋がり、半導体産業の重要性、そして日本のシーレーンにおいても要衝であるという点が説明されました。
次に、中国の情勢と習近平氏の野望について、彼が兼務する3つのポストやライバル関係の説明から始まり、台湾を狙う背後には何があるのか、「3つの百年」と称してその理由を解説くださいました。米軍と中国軍の軍事力比較については、清水様がペンタゴンの資料から独自にまとめたものを見せてくださり、いかに中国軍の軍事力が近年増大しているか、いかに脅威かがよく分かるものとなっていました。

続いて2024年に控えている台湾総統選挙について、この選挙が中国との問題にどのように影響を与える可能性があるかを、4人の候補者それぞれの立候補の経緯や思惑などを踏まえて説明されました。最後に、台湾有事のシミュレーションと日本の防衛について、戦争の発端から展開までの可能性が話されました。南西諸島の住民避難の問題や防衛費増額についても取り上げられました。

時間をいっぱいに使っての講演の最後に、清水様は「次代を生きる皆さんへ」と題してイノベーター理論とバックキャスティングという思考法を紹介されました。「能力×考え方×熱意が人生を形作る要素であり、学生の皆さんの未来は明るい」と力強いメッセージをくださいました。
講演前に紹介された清水様ご自身の経歴でも、仕事でのキャリアアップに並行して、30代で米国留学、40代で早稲田大学大学院修士課程入学、50代で京都大学大学院博士課程入学、と学びを重ね続けてこられたのが印象的だっただけに、このメッセージは学生にも強く響いたのではないでしょうか。