経済学部

経済学部「国際協力論」(林 光洋)の公開特別授業:日本鉄鋼連盟で活躍するOBが講義

2022年06月20日

6月14日(火)1時限目、経済学部の授業「国際協力論」(林 光洋)にて、一般社団法人 日本鉄鋼連盟の髙木 快郎(たかぎ よしお)さんを招いての公開特別授業が行われました。髙木さんは2018年3月に本学経済学部を卒業したOBで、卒業後に日本鉄鋼連盟に入られて以来、途上国・新興国に向けた地球温暖化対策に関する業務に従事しています。

「カーボンニュートラルに向けた国際協力 ―日本鉄鋼業の事例―」と題した講義は、鉄とは?の問いから始まり、鋼材の製法や、経済的側面・環境的側面などの数字、カーボンニュートラルの説明と進みます。
日本の粗鋼生産量は中国とインドに次ぐ世界第3位であること、そして日本の産業において鉄鋼業が占めるCO2排出量は37%(最も多い)であることを説明した後で、「社会基盤、経済にとって不可欠な「鉄」。一方で、CO2の排出量が多いことも事実。地球温暖化対策としてどのような対策をとることができるのか?」という問題提起がありました。

この問題提起について、髙木さんは「エコプロセス(製鋼プロセスのエネルギー効率の向上)」、「エコプロダクト(自動車用高強度鋼板など、最終製品の省エネ性を高める鋼材の開発)」、「エコソリューション(世界最高水準の日本の省エネ技術を途上国に普及させる国際協力)」という3つの形態に分け、日本の鉄鋼業界のカーボンニュートラルに向けてのさまざまな取り組みを教えてくださいました。特にエコソリューションについて、中国、インド、アセアン諸国等途上国への日本からの協力やそれに対する各国の声、日本からの技術導入の件数など、力を入れた紹介をされました。

「エコソリューション」の中の1つのツールである「技術カスタマイズドリスト」という技術集は、日本で実績のある省エネ、環境保全、リサイクル分野の技術情報等を各国・地域向けにカスタマイズしたものということで、サプライヤー(技術提供企業)情報も網羅されており、たいへんに価値あるものだと感じられました。

最後に、「「鉄」は社会基盤、SDGs達成にも必要不可欠。人口が増加することによって、鉄の需要も拡大する。世界で最も効率の良い日本の省エネ技術を技術移転することによって、実効性のある地球温暖化対策、さらにカーボンニュートラルに貢献します」とまとめて締めくくりました。講義終了のQ&Aコーナーでは、学生から質問が飛び交い、髙木さんは1つ1つ丁寧に回答・説明していました。

4時限目と5時限目には経済学部およびFLP国際協力プログラムの林光洋ゼミに参加され、さまざまな質疑応答に対応したり、3年生のグループ論文の研究計画を聴いて問題点を指摘したりするなど、ゼミの後輩の研究活動をたいへん有意義なものにしてくださいました。