理工学研究科

専攻の方針 情報工学専攻

1.情報工学専攻(博士課程前期課程)における教育研究上の目的

情報工学専攻では、理工学研究科の教育研究上の目的に加えて、幅広い産業分野において新展開を行う際の基幹となる情報分野において、本質を理解することによる新しいプログラミング言語に対応できる能力、新世代の高度情報処理を実現するソフトウェア・ハードウェア両面の深い知識、及び、国際社会の情報マネジメントに必要なデザイン能力を備えることによって、高品質(ハイクォリティ)情報処理を実現し社会に貢献する高度人材の育成を教育研究上の目的とします。

2.学位の授与に関する方針(ディプロマ・ポリシー)

(1)情報工学専攻において養成する人材像

情報分野の幅広い業種にわたりミドル~トップマネジメントの担い手となるため、専門性と共に広範な基礎知識を身に付け、夢の実現に向けて学び挑戦し続ける心を備え、それを基礎として、研究活動や学会での研究発表等を通じて培ったコミュニケーション力を備えます。これらを具備した、集団および社会における自らの役割を常に意識し、正しい倫理観をもって行動する知性的な人材を養成します。

(2)情報工学専攻を修了するために身に付けるべき知識・能力

理工学研究科を修了するために身に付けるべき知識・能力と総合して、情報分野及びその応用・関連分野において以下の知識・能力を身に付けるべきとします。

[コミュニケーション力]様々な説明の方法や手段を駆使し、意見の異なる相手との相互理解を得ることができる。

[問題解決力]自ら課題を発見し、最善の解決策を選択し、計画的に実行している。その結果を多面的に検証し次の計画に反映できる。

[知識獲得力]継続的に深く広く情報収集に努め、取捨選択した上で、知識やノウハウを習得し、関連付けた上で他者が思いつかない形で活用できる。

[組織的行動能力]チーム、組織の目標を達成するために何をすべきか、関係者の利害を幅広く考慮した上で適切な判断を下し、自ら進んで行動を起こすだけでなく、目指すべき方向性を示し、他を導くことができる。

[創造力]知的好奇心を発揮して様々な専門内外のことに関心を持ち、それらから着想を得て科学技術の発達に貢献するような独自のアイディアを発想することができる。その際、関連法令を遵守し、倫理観を持って高度技術者が社会に対して負っている責任を果たすことができる。

[自己実現力]自らを高めるため、常に新しい目標を探しており、見つけるとその達成のために最短の道筋を考えてそれをたどるために努力する。失敗してもあきらめず、繰り返し挑戦する。

[多様性創発力]多様性(文化・習慣・価値観等)の相互理解を得て適切に対応しつつ、自分が何を望むか、まわりが自分に何を望んでいるのかを総合的に判断し、行動できる。加えて、複数人の協同により、相乗効果を生み出すことができる。

[専門性]情報工学における高度な専門知識を有し、専門知識人対象レベルの情報の理解と正確性の判断をして自らの主張を国内外に発信できる。秀でた工夫により一定基準以上の正確さや緻密さをもった作業を行うことができる。

3. 教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)

理工学研究科及び情報工学専攻の「教育研究上の目的」を達成するために設けた「学位の授与に関する方針」を満たす高度人材を組織的・体系的に養成するために、以下を教育課程編成の方針とします。

  • 「学位の授与に関する方針」を満たすために、学生全員が習得すべき知識・能力を学ぶ共通科目として「情報工学論文研修第一〜第四」を設け、情報工学に関連する分野に対して、社会・環境・技術の調査、課題発見、課題解決方法の考案と比較、取り組むべき解決方法の決定と実践、評価・考察、結果の取りまとめと説明・主張・意見交換の手順を学び、実行し、修士論文作成の準備を行います。
  • 「学位の授与に関する方針」を満たすために「情報工学論文研修第一〜第四」のみでは習得できない知識・能力を学ぶ科目として「基幹科目群」及び「セキュリティ科目群」を設けます。「情報工学基礎科目群」には「数理情報学」「社会情報学」「映像情報学」並びに「知能情報及び生命情報学」を適切に配置します。また、情報工学専攻で学ぶ際に前提となる知識・能力を学ぶ科目として、博士前期課程修了要件には含まれない「自由科目」を設け、学習を支援します。
  • 各科目群では、実践を通じた技術・技能や行動特性の習得と振り返りに重点が置かれた「演習科目」、及び、知識の習得に重点が置かれた「講義科目」を、それぞれの学習効果を考慮して配置します。
  • 各科目で学生が習得すべき知識項目及びその水準については、国内外の参考となる指標、例えば、一般社団法人情報処理学会コンピュータ科学教育委員会が海外の状況も踏まえて策定した「コンピュータ科学知識体系CS-BOK-J」に準拠して定めます。
  • 各科目を通じて学生が向上すべき行動特性については、「問題」「指示待ち」、「通常」、「自主的」、「独創的」、「創発的」と段階的に定める行動水準に基づき、科目の内容および実施形態を考慮した上で、設置学年に対応して定めます。
  • 1 年終了時点:「組織的行動能力」及び「自己実現力」については「独創的」またはそれより優れた行動を起こせる。その他については「自主的」またはそれより優れた行動を起こせる。
  • 修了時点:全ての行動特性について「独創的」またはそれより優れた行動を起こせる。

以上の方針、及び方針に基づいて策定する教育課程を定期的に点検の上必要に応じて改善することで、「学位の授与に関する方針」を確実に達成することに努めます。

4.入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)

理工学研究科のアドミッション・ポリシーに加え、以下を方針とします。
理工学研究科及び情報工学専攻が定める「修了するために身に付けるべき知識・能力」を具備すべく、「教育課程の編成及び実施に関する方針」にて定めた教育課程に十分対応できる知識・能力を有する者を受け入れます。入学希望者の経歴を考慮して、情報工学基礎、特に数理情報学、社会情報学、映像情報学、知能情報及び生命情報学、並びに情報セキュリティに関する知識やそれらを活用する能力を確認する手段、かつ、情報工学専攻で学ぶ意思及び準備状況について能力確認する手段を複数設定し、入学受け入れの可否を判断します。