国際情報学部

国際情報学部学部長・教授 平野晋が「自動運転の派生型トロッコ問題の仮想事例研究」をテーマに、〈情報ネットワーク法学会〉で基調講演を行いました

2021年12月03日

国際情報学部学部長・教授 平野晋

国際情報学部学部長・教授 平野晋の専門分野はアメリカ法、製造物責任法、及びサイバー法です。著書に『ロボット法』等があります。
また、平野はこれまで、国内においては総務省の「AIネットワーク社会推進会議」や内閣府の「人間中心のAI社会原則検討会議」に、国外においてはOECD「AIGO:AI expert Group at the OECD」(AI専門家会合)に参画しており、AIの開発や利活用に関する議論に貢献してきました。詳細はこちらのページをご覧ください。

このたび平野は、〈情報ネットワーク法学会〉研究大会において、「自動運転の派生型トロッコ問題の仮想事例研究」をテーマにした遠隔による基調講演を行いました。
ちなみに〈情報ネットワーク法学会〉は、平野も発起人の一人となって設立された、情報法を学際的に研究する学術研究団体で、現在では国際情報学部教授の小向太郎及び石井夏生利が副理事長及び理事を務めております。

基調講演では、平野がこれまで講演してきた国内外の会議体や論文・著書において発表してきた、
派生型トロッコ問題の基礎を概説。
続いて、ドイツが公表した自動運転のジレンマ状態における倫理原則が、イマヌエル・カントの絶対的義務論と、テロリストにハイジャックされた旅客機が地上に多大な害を被らせようとする行為を防止する為の撃墜命令権を国防大臣に付与した『航空安全法』の違憲判決に基づいている為に、多大な被害発生を放置することになるとして批判。
その上で、9・11同時多発テロの際にはチェイニー副大統領から撃墜が実際に命じられた事実や、アメリカの緊急避難法理における仮想事例が功利主義的な犠牲を認容している事実や、医療トリアージにおいて稀少な医療資源を効率的に使う為に患者を診る順序に優劣を付ける慣行が認められている例を挙げながら、自動運転のジレンマ状態における功利主義的衡量が社会的に許容される場合があることを示しました。