経済学部

経済学部「国際協力論」で経済学部OB・JICA海外協力隊の須藤智也さんがグアテマラでの経験を講演

2026年4月28日(火)1時限目、経済学部の「国際協力論」(担当:林光洋)において、特別授業が行われました。公開授業として実施されたため、履修者に加えて他学部の学生も参加し、約70名が講演に耳を傾けました。

登壇されたJICA海外協力隊(青年海外協力隊)の隊員であった須藤智也さんは経済学部のOBで、学生時代は林光洋ゼミでフィリピンのBOPビジネスの調査・研究に取り組んでいたとのことです。卒業後、5年間の地方銀行勤務を経てJICA海外協力隊に参加し、昨年12月、2年間のグアテマラ派遣から戻られました。
この日は「国際協力の現場で働く ―グアテマラ農村の家計管理改善と女性のエンパワーメント―」をテーマに、現地での活動経験についてお話しいただきました。自己紹介に続いて、公用語、食事、街並み、国民性、先住民族の人たちのことなどさまざまな面からグアテマラの紹介がありました。

須藤さんは、まず現地の33のコミュニティ・グループを訪問し、住民との対話を重ねながら情報収集を行いました。一緒にパンを作ったり、住宅の床張りを手伝ったりしながら話を聞いていく中で、「女性のエンパワーメント」というプロジェクト目標に対してのワークショップが作業化していると気付いたと言います。当初は「個人→グループ→コミュニティ」という段階的なエンパワーメントを目指していましたが、須藤さんは、そもそも個人の段階で十分な支援が行き届いていないことに課題を感じたといいます。

その後は対象を絞り、「生活改善アプローチ」に取り組みました。これは、住民自身の工夫と手元にある資源を活用しながら、生活上の課題を少しずつ改善していくことで、自律的かつ持続的な生活向上を目指す手法です。戦後、日本の農村を中心に導入されたもので、JICAの中でも、途上国の開発に応用できると考えられています。

最寄りの小学校まで徒歩30分、中心部や市場まで山坂ある道を歩いて60分、トタン屋根で電気はなく、太陽のリズムに合わせて寝起きするというそれらの集落で、須藤さんはまず「家の中の改善点を探そう」というワークショップを行いました。また金融機関での知識と経験を活かした家計収支を分析するワークショップでは、3つのグループのエンゲル係数が41〜53%と非常に高いことがわかりました。多くの世帯が医療費が必要になったときなどに困った経験をもっていたということです。そこから派生して、現地の医療や教育についても細かに状況を教えてくださいました。

須藤さんは2年間の活動を振り返り、「途上国の課題はさまざまな要因が複雑に絡み合っている。その解決には、その国の人自身が考え、決めていくことが重要だと感じた」と語りました。また、これから国際協力の道を志す学生に「もし皆さんが私と同じグアテマラの現場にいたとしたら、どのように考え、どのように行動するのかを考えてほしい」とメッセージを贈りました。
また、グアテマラに自分を気にかけてくれる人が増えたことが嬉しく、いつか恩返しをしたいと講演を結びました。

質疑応答の時間には多くの手が挙がり、「学生団体としてカンボジアで支援活動をしているが、ワークショップの開催準備は、国内でどのようなことをどこまでやり、現地でどのようなことをやるべきなのか、また準備期間を含めたスケジュールをどのように設定したらいいのかについても知りたい」といった意欲的な学生からの質問もありました。 須藤さんはどの質問にも具体的な数字や現地で出会った人のエピソードを交え、丁寧にお答えくださいました。

須藤さんは、4~5時限目、林ゼミの3年生による研究計画の報告会にも参加くださいました。林ゼミ3年生は4班に分かれてフィリピンの貧困層が抱える諸問題を研究しており、それぞれ食育と学校菜園、インフォーマル居住地域のコミュニティ開発、通常の教育を受けることのできない子どもたち向けの代替教育、民間企業とサリサリストア(よろづ屋)によるプラスチックごみの回収プロジェクトをテーマにとりあげ、2週間の現地調査を含む1年間の研究プロジェクトを計画しています。各班がスライドに沿って研究概要と計画を説明し、意見交換しながらブラッシュアップしていく中で、須藤さんもゼミ生時代を思い出しながら、熱心に計画書を読み込み、後輩たちにアドバイスをくださいました。