経済学部

経済学部「国際公共政策」において、三菱電機株式会社より深谷岳伸さん、佐藤皓子さんを迎え、特別講義が行われました

2026年1月19日(月)、経済学部の講義「国際公共政策」において、三菱電機株式会社より深谷岳伸さん、佐藤皓子さんを迎え、特別講義が行われました。

深谷岳伸さんは、三菱電機株式会社サステナビリティ・イノベーション本部サステナビリティ事業推進部次長兼CISTプロジェクト推進室長を務めています。サステナビリティ分野における新規事業の推進や技術開発を統括し、社会課題の解決に向けたプロジェクトを牽引しています。
佐藤皓子さんは、同社同本部同事業推進部で、リサイクル共創センターの海外事業統括を担当し、国際的なリサイクル事業や資源循環の推進に携わり、持続可能な社会の実現に向けたグローバルな事業展開を進めています。

三菱電機株式会社は、1921年に設立された日本を代表する総合電機メーカーです。本社を東京都千代田区丸の内に置き、社会インフラ、産業システム、情報通信、家電など幅広い分野において研究開発・製造・販売を行っています。同社は「活力とゆとりある社会の実現への貢献」を企業理念に掲げ、環境負荷低減やカーボンニュートラル、循環型社会の実現に向けた取り組みをグローバルに推進しています。

講義では、三菱電機のサステナビリティ経営を中心に説明いただきました。同社は、サステナビリティの実現を経営の根幹に据え、社会・環境への貢献と事業成長を同時に達成する「トレード・オン」の考え方を採用しています。その推進体制として、2024年4月に新設されたサステナビリティ・イノベーション本部が、価値創出と経営基盤強化の両面からグループ全体の取り組みを包括している点が示されました。また、既存事業の枠を超えた新規事業創出の取り組みとして、全社横断のGISTプロジェクトが紹介され、現在の検討テーマの一つとして「海」を切り口にしたCO₂回収の可能性に取り組まれています。これらの説明を通じて、サステナビリティが社会課題の解決と事業成長を両立させるための経営そのものとして設計されていることが理解できました。

本講義を通じて学んだ最も重要な点は、環境課題への取り組みは理念や数値目標だけで完結するものではなく、現場に根ざした実践によって初めて成立するという点です。三菱電機の事例からは、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといった長期目標を掲げるだけでなく、各国・各地域の制度やエネルギー事情を踏まえながら、再生可能エネルギー調達や資源循環の社会実装に取り組んでいることが確認できました。また、家電プラスチックの自己循環リサイクルの取り組みからは、自社単独ではなく、企業・行政・大学が連携し、社会全体の仕組みとして環境価値を創出している姿勢を学ぶことができました。

佐藤皓子さんからは、気候変動対策とサーキュラーエコノミーの実現に向けた同社の戦略について説明がありました。
まず、カーボンニュートラルへの取り組みとして、2030年度までに工場・オフィスからの排出を、2050年度までにはバリューチェーン全体での排出を実質ゼロにする目標を掲げていることが示されました。自社で管理可能な範囲であるScope1・Scope2のみならず、サプライチェーンの上流・下流を含むScope3の削減が最難関であり、全関与者の協力が不可欠であると強調されていました。これに対応できないことはビジネス機会の喪失に直結するため、産官学連携による技術開発を加速している現状を説明されていました。
また、従来の大量生産・大量廃棄型社会から脱却し、製品設計段階から資源価値を最大化させるサーキュラーエコノミーへの転換についても言及がありました。国内では、家電から回収したプラスチックを独自の高度選別技術によって高純度な素材に再生し、再び自社製品に利用する「自己循環リサイクル(水平リサイクル)」の仕組みをすでに確立しています。

グローバル展開においては、特にタイを中心とした東南アジアでの取り組みに注力していることが紹介されました。現地の財閥CPグループと連携した工場の省エネルギー化や、日本のリサイクル技術や知見を活用した現地社会システムの構築など、産官学が一体となった取り組みが進められていて、学には本講義の担当者の佐々木教授が参画しています。佐藤さんは、国際的な要請や現地ニーズに対応するためには、ビジネスモデルそのものを変革していく重要性があると述べていました。

講義後半で示された「俯瞰的に物事を見ること」「本質を見抜く力を養うこと」「変化を恐れず挑戦すること」という三つのメッセージは、今後の学びや進路を考える上でも重要な示唆を与えるものでした。単に環境に配慮するだけでなく、技術・制度・収益性まで含めて事業として成立させる視点と、現場を自ら見ようとする姿勢こそが、社会課題解決に向けて求められる重要な資質であると感じました。

(佐々木創ゼミ 押川莉菜、岸真侑加、蛸井芽依、村上優奈)