経済学部

経済学部の近廣ゼミにて国際金融市場についての特別講演が行われました

2025年12月9日、経済学部の近廣ゼミ(演習Ⅰ、Ⅱ)においてゲストスピーカーをお招きしての特別講演がありました。登壇された吉武聡さまは新卒入行の第一勧業銀行からキャリアをスタートし、米国にてMBAを取得した後はみずほ銀行のニューヨーク支店や国際金融公社(IFC)で長く勤務されました。52歳でリタイアして以降もリース会社やインドのTataグループのノンバンクなど、引き続き金融業界に携わっておられます。海外勤務18年のほか、日本での勤務も含めそのキャリアの大部分で国際金融分野に関わってきました。
この日は国際金融機関やカントリーリスクについて、その多彩な実務経験を交えて解説くださいました。

まず国際金融市場の主要プレイヤーとして、世界銀行とIMFについて設立の目的や役割、内部構成などを説明くださいました。吉武さまも出向していた国際金融公社(IFC)を含む世界銀行は、途上国の発展を目的に5年から30年程度といった長期資金を供給するもので、一方の国際通貨基金(IMF)は通貨危機など緊急時に短期資金を提供し、経済の立て直しを支援する機関であると整理されました。両者は役割が大きく異なり、状況に応じて国を支える仕組みになっているということです。

続いてカントリーリスクについて、「投資した資金が国の事情によって返済されなくなるリスクのことです」とし、どういったところを見てその多寡を判断するのかを説明してくださいました。その顕在化の例としてスリランカが挙げられ、観光収入に依存していた同国がコロナ禍で外貨を獲得できなくなり、2022年4月に政府が公的債務の返済停止を宣言した経緯が紹介されました。「民間の投融資であれば、どこで逃げるかを判断することが重要」と語り、データを用いた冷静な判断の必要性、特に「国際収支や外貨準備高を見ること」と強調しました。
また、「多くの指標が出ていたのに、なぜ市場は急変したのか」「国債の格付けは信用できるのか」という学生からの質問に対しては、「政府がぎりぎりまで市場の売り浴びせに抵抗した末に、支えきれなくなった時点で一気に市場の勢いに押し流された」と説明しました。国債の格付けについては「格付は基本的に後追いであり、事前のシグナルとしての有効性は限定的」と述べ、格付けは将来の倒産確率を基に算出されるものの、実際の市場の動きはそれよりも早いと指摘しました。

吉武さまは100分を通して学生たちにニュースやデータを多角的に読み解く姿勢の重要性を伝え、また最後には海外勤務というものについて、ご自身の経験からの所感を述べられました。駐在経験のある米国・タイ・インドについて困ったこと、学生にとって国際金融やそこで働くということを知るまたとない機会となりました。