経済学部

経済学部近廣ゼミにて、マクロボンドによる経済データの扱いについての特別講演が行われました

2025年6月10日(火)、経済学部近廣ゼミの演習2にて、マクロボンドの矢谷さま、張さまにお越しいただいての特別講演が行われました。

マクロボンドは世界各国のマクロ経済データを始め、3億以上のさまざまな時系列データを持つ情報提供企業で、ロイターで経済データベースの業務を担っていた創業者がスウェーデンのマルメにて2008年に設立しました。多くの場合、データベースからの情報引き出しとその後の統計分析・ビジュアライズは別々のアプリで行う必要がありますが、同社ではそれを一つのアプリで比較的簡単に行うことができ、これを強みとして世界各国で1000社以上に導入されています。

実際に顧客がどのようにデータを活用しているのかの実例を紹介くださり、その中に近廣准教授が作成した個人向け国債を表したグラフもありました。矢谷さまはある企業のエコノミストが作成したアメリカの対日貿易赤字を例にとり、「国のところでUSAを選択して、貿易なのでTRADEを‥」と順を追って画面操作を行いながらデータからグラフを作成するやり方を教えてくださいました。また季節要因がデータのノイズになることを解説され、それをクリアにするシーズナルアジャストという機能を使い、グラフが完成しました。

ほかにもいくつかの企業・クライアントの使用例を挙げ、「顧客からの『このようなグラフを作りたい』という相談に乗るのも仕事のうち」と、どんな要望があったのか、どのようなデータの組み合わせでそれを実現したかなどを教えてくださいました。主要ソースカタログには官公庁が出す統計データのほか、電通が出す「日本の広告費」や、JA全農たまご株式会社による「たまご相場」など民間のデータもさまざまなものを取り揃えてありました。 情報提供企業ではそのデータがクリーン(使いやすい)なことが何より大切であり、その点についてマクロボンド社はとても良いものを提供しているとの自負があるということです。

学生からの質問も多く挙がり、矢谷さまは都度実際のデータでグラフを作るなどしながら、例えば消費者物価指数(CPI)と原油価格の相関について「目盛を(グラフの左右で)別のものを用意することで、データの相関性・連動性が見やすくなる」「期間を区切るとより分かりやすくなる」などとデータの活かし方を教えてくださいました。

最後に矢谷さまはエコノミストを「予測しなきゃいけない職業」だと表現し、過去のデータや相関性の高いデータを使った定量分析で未来を予測するやり方を教えてくださいました。いくつもモデルがある予測の計算式を過去のデータや相関性の高いデータに掛け、それを評価するモデルをさらに選んで正確性に磨きをかけるということです。

経済分析・データサイエンスに触れる濃密な100分はあっという間にも感じられ、学生たちは終始前のめりに学んでいる様子でした。