2024年12月9日(月)、経済学部の「金融論Ⅰ(担当:近廣昌志)」にて、80社の金融機関が集うインパクト志向金融宣言を事務局長として運営している立場から安間匡明さまによる「変貌しつつある金融-財務要素と非財務要素を併せて投資判断する統合思考-」と題した特別講義が行われました。安間さまは日本輸出入銀行(現・国際協力銀行)、世界銀行、大和証券顧問を歴任された後、現在はコンサルティング会社役員を務められています。

この講義では、「現在の金融が輝いていると言えるのか」という問いかけのもと、冒頭、米国と日本の企業では、企業価値に占める無形資産の割合が異なること、企業価値創造には企業の非財務要素が重要であること、それらと株価との関連を説明されました。
特にESGの領域では企業のリスク管理と大きく関わり、企業の潜在価値を測る考え方について詳細にご解説くださいました。
財務的な「利益」だけを追求しようとする従来の経営では、企業の存在価値が低下してしまうため、企業は事業のあり方を変革して改めてその存在意義を問うことが重視されます。

これまでの新自由主義による経済成長に対して、今後の経済発展は社会・環境に依存することを意識する必要性、投資判断にあたって財務的要素と非財務要素を併せて考える「統合思考」が鍵であることお話しくださいました。特に投融資の判断の軸を変えていくことこそが重要であることなど、社会を動かす金融を高機能化する考え方を教えてくださいました。
講義後の質疑応答では予定時間を超えて、寄せられた学生からの質問に対して丁寧にお答えくださり、充実の特別講義になりました。