経済学部

経済学部「国際開発論」でフェアトレードに関する公開特別講演会を開催

2024年11月26日(火)「国際開発論」(担当教員:林光洋)において、フェアトレード事業を手がける団体「ネパリ・バザーロ」の簑田萌様をお招きして公開特別講演会が開催されました。

講演の依頼等この日のためのセッティング・司会進行は、FLP国際協力プログラムおよび経済学部の林光洋ゼミが中心となって運営しているフェアトレード団体「中央大学フェアトレード委員会(FACT:Fair Tarde Chuo University Team)」が行いました。授業冒頭にFACTメンバーが登壇し、普段の活動内容や、先だって多摩キャンパスの生協で行われたフェアトレードフェアの報告、本講演会の狙いなどを話しました。

 

ネパールの女性が編んだニットベスト姿で登壇した簑田さん。この日は「生産者とつながるフェアトレード」と題して、取扱い製品とその生産者・背景について多くのエピソードをお話しくださいました。
2019年にネパリ・バザーロに入社したものの折悪くコロナ禍となり、2023年末になってようやくネパールへ仕入れに同行。コーヒー豆やニット、彫金の小物などさまざまな製品の生産者と対面してきたそうです。

ネパールのコーヒー豆を日本で初めて輸入したのはネパリ・バザーロであり、その設立は、同団体の代表がネパールの貧困問題に取り組もうとした際に現地女性に言われた「寄付より貿易をしてほしい」との一言がきっかけだったとのこと。
それ以降、さまざまな商品の芽を探し、それらを二人三脚の態勢で育ててきたそうです。そのようにして作ってきた仕事を通して自立・成長する現地の人は着実に増えており、フェアトレード商品を生産する現地女性へのインタビュー動画も見せてくださいました。
これらのエピソードを用いて、簑田さんは、仕事づくりを通して尊厳を守る、仕事を作る仕事、という同団体の姿勢を教えてくださいました。別れ際に「もっと仕事をくださいね」と言われたことで、改めて自分の仕事の重みを感じたそうです。

ネパリ・バザーロは国内にも目を向けており、人気商品のクッキーは横浜の福祉作業所にその製造を委託したり、被災地で事業を興したりするなどの活動もしています。
東日本大震災で大きな被害を受けた陸前高田はもともと椿が有名な土地で、ここに椿畑を甦らせたいという被災者の声を拾って、椿油の精製から食品・化粧品等を製造する「東北椿油プロジェクト」をスタートさせました。2017年には沖縄でカカオ栽培をスタートし、黒糖や海塩も使ったチョコレートづくりを始め、ここにも障がい者や一般就労が難しい人たちを積極的に雇用しているということです。

簑田さんは青年海外協力隊に参加し、帰国後、就職を考えるにあたって、つまらなそうに仕事をしている人を多く見かけていたため、自身は楽しむことのできる仕事に携わりたい、楽しみながら笑顔で仕事をしたいと思っていたそうです。ある時、ふとしたきっかけで出会ったネパリ・バザーロの人たちが、とても楽しそうに、また自信に満ち溢れた表情で商品や仕入れの話をすることに衝撃を受け、そこで一緒に働くことを決意したそうです。

ネパリ・バザーロでのさまざまなエピソードはどれも心に染み入るようで、講演のあとの質問タイムでは、学生たちから多くの手が挙がりました。簑田さんは、それらの質問に対して、やさしい口調でありながら、気持ちがこもり心に響く言葉で丁寧に回答してくださいました。