経済学部

経済学部 近廣ゼミに、農林中金ご出身の金融のプロ、勝山 正昭さまがご登壇しました

2024年7月2日(火)、経済学部の近廣ゼミナール(演習1、2,近廣昌志准教授)にて、金融のプロフェッショナルである勝山 正昭さまがゲストスピーカーとして登壇しました。

勝山さまは大学卒業後、農林中央金庫に15年、スイス再保険グループ(「Swiss Re」)および米再保険ブローカーの「Guy Carpenter」に約20年、そのほかにも2社でもご活躍されるなど、一貫して金融畑を歩んでこられた方です。国際スワップ・デリバティブ協会や気象庁・経済産業省主催の研究会委員などの公的活動、慶応義塾大学や東京大学の大学院臨時講師なども歴任されており、その豊富な経験から金融業界について血の通った解説をしてくださいました。

勝山さまは金融の役割を「資金とリスクを繋ぐ仲介機能」と表現し、「お金やリスクの流れをコントロールすることにより経済や社会の発展に寄与する」と、その社会的意義を説明。その流れで「金融ムラ(業界)の人の特徴」を「やたら細かい」「粗探しが得意、『てにをは』のちょっとしたミスなども指摘せずにいられない」などとやや自虐的に紹介しつつも、「経済・社会に貢献できる大きな仕事と思って、自負を持ってやっている」と話されました。

そその社会的意義の一例として、携わってきた金融取引(商品開発)を二つご紹介くださいました。一つは鉄道事業者を対象とした地震債券で、地図上の同心円の中で発生した地震のマグニチュードの大きさに対して債券の元本が事業者に支払われるというもの。大地震の際に発生しうる大きな損害で事業者の財務状況が大幅に悪化しないようにする仕組みです。もう一つの「死亡率債券」は疫病等で死亡率が上がった時に、保険会社が保険金の支払いでパンクしないようにするというもの。いずれも債券の発行によって、そのリスクを海外に移転するという、保険機能を発揮させるという事例でした。

各章の合間に外資系金融機関で働く人たちのダイナミックな人生を紹介されたり、都度の質問タイムも設けられ、充実したご講演でした。また「金融業界に勤めたいなら」「若者たちの資産形成にひと言」と、勝山さまの経験談からの提言をくださるなど、学生たちの将来にとって非常に実りあるひと時となりました。

勝山さまコメント

「今回初めて金融教育というテーマで大学生に話をする機会を得られて、私自身も大変勉強になりました。学生たちが興味を持つようにソフトなトピックも多く入れましたが、高度な取引の例に突っ込んだ質問が多く出るなど、近廣先生の日頃のご指導の成果で、金融学に対する学生たちの意識の高さがうかがえました。日本の将来を背負う若者とたちとのやり取りは、私にとっても刺激になり、今後もこのような機会をいただければぜひ活かして行きたいと思っております。」