2024年6月20日(木)、経済学部の「交通経済論(担当:後藤孝夫)」にて、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)総合企画本部 経営管理部の泉 秀格さま、茂澄 大輝さまにお越しいただき、「JR東海の経営戦略」と題した特別講演が行われました。
登壇された泉さまは、事務系の総合職で入社後、新幹線鉄道事業本部ならびに人事部で要員管理を中心に、名古屋駅の総務科長、新入社員研修のインストラクター、社長秘書でもあったという多彩な経歴をお持ちです。特に要員管理の仕事は、「全ての職場の仕事をきめ細かく把握・理解し適正人員を算出する」というもので、JR東海の業務内容に精通されている方です。
講演は「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念、その経営理念を実現するために社員がとるべき行動を定めた行動指針の紹介から始まりました。また、1951年に発生した桜木町駅での列車火災事故をきっかけに制定された「安全綱領」と呼ばれる定めに言及され、学生にも分かりやすく、安全への想いをお話くださいました。
続いて「営業収益(単体)の約9割が東海道新幹線」という収益構造、そのため、「JR東海はとにかく東海道新幹線を磨き上げてきた」というこれまでの経営戦略の紹介がありました。そして、アフターコロナの経営戦略として、鉄道事業の費用構造(固定費の割合が高くコストカットに限界がある)を踏まえて回復のためにさまざまな需要喚起策を打ってきたこと、また、東京~名古屋~大阪という日本の大動脈の二重系化・圧倒的な時間短縮効果による巨大都市圏の創出といった狙いがあるリニア中央新幹線ならびに環境問題(CO2排出量削減)への取り組みなどを丁寧にご説明くださいました。
今後も変わらず日本の大動脈を担い続けるために変わっていかねばならないという高い使命感とそのための挑戦のスピリットを基盤としたさまざまな取り組みの内容を深く理解できた講演でした。
最後に、「JR東海が求める人材」についてのお話がありました。泉さまは「鉄道の仕事は分業・分担制であり、それぞれの人がどこかで手を抜いたら、ほかの人の仕事が台無しになる」と述べ、「それぞれが自分を律して、規律を持って仕事をすることが求められる」とチームワーク・規律の重要性を説くとともに、実践と成長の精神として、泉さま個人が大切にしている「事上磨錬」(日々の実践を通じてのみ力がついていく)という言葉を残してくださいました。