経済学部

金融論Ⅱにて、駐日英国大使館のNaomi Davies様(経済・金融参事官)が講演を行いました

2023年11月7日に行われた経済学部の「金融論Ⅱ」(担当:近廣昌志(ちかひろ・まさし)准教授)に、駐日英国大使館で経済・金融参事官を務めるNaomi Daviesさんがお越しになり、学生に向けて講演を行いました。

多数の公開されている資料を基にさまざまな角度からイギリス経済についてお話くださるというもので、英語での講演に学生は緊張気味でしたが、主には図表の解説であったことと、ゆっくり目に話してくださったことで、ときおり頷きながら聞いている様子がうかがえました。

産業革命から現在に至るまでのイギリス経済史の概観から始まり、家計と政府債務や労働市場、公共投資と民間投資、貿易、金融サービス業などについて、現状やそれに至る因果関係などを詳しく解説くださいました。

イギリスの特徴的な住宅市場(価格や金融政策)についても時間を多く割いての解説がありました。日本とイギリスの住宅市場は地理的な要因により非常に異なっており、自然災害が少ないイギリスでは中古住宅のストックが多く、歴史ある建築物の方が一般的であるということでした。「The house that I grew up in, was built in the 1930s. And that was seen as relatively modern.(私が育った家も1930年代に建てられた比較的「新しい」家でした)」というコメントが印象的でした。

 

講演の後、英語に堪能な学生が手を挙げ、講演の中にあった「日本がアジアの金融センターになるのは難しい」というNaomi Daviesさんの指摘について、「金融センターになる最大の利点の一つは、スタートアップやユニコーン企業が資金を得ることだと思うが、日本がイノベーションを起こす企業を十分に持っていないことが、長年の問題の一因だと思うがどう考えるか」と質問しました。

Naomi Daviesさんは「(スタートアップのために)日本が国際金融センターになる必要はないと考えており、必要なのはリスクを取る意思である。日本の大企業が保有している莫大な現金は、スタートアップに役立てられる可能性があるが、リスク回避のマインドセットが障壁になっている」と返答されました。「イノベーションや創造性は、失敗を許容する文化によって促進されるが、日本ではそのような文化が不足していると感じる」と、海外の視点から日本の問題点を指摘され、質問をした学生も得心した様子でした。