経済学部

経済学部「金融論Ⅱ」特別講義。現役の証券コンサルタントが企業年金と資金運用についてお話しくださいました

2023年10月24日、経済学部の授業「金融論Ⅱ」(担当:近廣昌志(ちかひろ・まさし)准教授)において、ニッセイアセットマネジメントのソリューション部専門部長の宇野様をお招きしての特別講演が行われました。
宇野様は津田塾大学卒業後、ニューヨーク市立大学にてMBAを取得され、以降現在に至るまで一貫して証券・金融畑でご活躍されており、「証券アナリストジャーナル」への多数の寄稿と、受賞歴もお持ちの専門家です。本講演では「確定給付企業年金」を主軸に、具体的な資産運用の話やコンサルタントの役割などを詳しくお話しくださいました。

まずは「確定“給付”年金」と「確定“拠出”年金」の違いという分かりやすい入口から始まり、確定給付企業年金はその名のとおり企業が独自に設定する年金制度であり,受給額が確定しているということ、そして福利厚生の一環として企業の魅力度を高める重要な要素であるというお話がありました。 確定給付企業年金は制度上定めた利回りを目標に年金資産を運用し、企業からの掛金とあわせて給付を行っているということです。また、運用方針については、理事会、代議員会、そして理事会の諮問機関である資産運用委員会で決定されるというお話がありました。資産運用コンサルタントはそうした場で資産運用に関するさまざまな提案・助言をすることが主な仕事であり、宇野様はコンサルタントとして大手の企業や学校法人を担当したご経験・エピソードも交えてお話を下さり、あわせて運用機関は具体的にどのように運用を行っているのかといったことも教えてくださいました。

講演開始から30分ほどで、話題は「投資対象資産の決定とインデックス」と、より具体的な部分に入っていきました。リスクとリターンのバランスをどのようにとるのかという一番の問題について、標準偏差の計算方法やその意味合い、相関係数や分散効果といった用語、リターンとリスクのシミュレーションなどについて詳細な解説もされました。今期の「金融論Ⅱ」の受講生は少数ながら近廣先生のゼミ生をはじめ熱心な学生が集まっており、非常に専門的な話でしたが、どの学生も高い関心から興味深く聞き入っている様子でした。

また、国内金利が下がり続け低位で推移してきたことを背景に国内債券における期待リターンが低下してしまったこと、そこからオルタナティブ(代替)投資についても言及されました。輸送やエネルギー施設をはじめとした「インフラ投資」や「不動産投資」といった、「投資対象が従来と異なる」例を挙げられたほか、「売り」から入るという「投資手法が従来と異なる」ものも「オルタナティブ投資」であると解説され、これについては後に学生から質問が挙がるなど活発な議論がありました。
最後に宇野様は1990年に金融分野で初めてノーベル経済学賞を受章したハリー・マーコウィッツ博士らの話にふれ、運用が進化してきたといったお話で講演を締めくくられました。

授業時間の最後には質疑応答の時間が多くとられました。企業年金のポートフォリオの構成にはどのようなパターンがあるのか?、運用商品に問題があったり、株の暴落などで大きなマイナスが出た事例はあるのか?など学生から多くの質問が飛び交い、宇野様は「あとでこのキーワードで検索してみてほしい」などヒントや実例を挙げながら、一つ一つ丁寧にお答えくださいました。

宇野様のお力添えにより有意義な講義が実現しました。宇野様には厚くお礼申し上げます。