経済学部

経済学部「公益企業論」ゲストスピーカー登壇3回目。東京電力を取り巻く事業環境と今後の経営戦略について

2022年12月16日(金)、経済学部の「公益企業論(担当:後藤 孝夫)」にて東京電力ホールディングス株式会社経営企画ユニット企画室秋月啓成さまによるオンライン特別講義が開催されました。毎年講演をお引き受けくださり、4回目となる今年は「東京電力を取り巻く事業環境と今後の経営戦略について」というテーマでお話いただきました。

秋月さまは2005年に東京電力に入社し、使用量の検針といった最も消費者に近い現場からキャリアをスタート。以来17年でさまざまな部署・ポジションを経験され、1番長く携わったのは電力の使用量を予測する部署ということです。入社当時の使用料未払い世帯の電気を止める作業など、具体的なエピソードを披露してくださいました。

講演は

1.電力事業における震災前後の変革
2.東京電力を取り巻く事業環境
3.今後の経営戦略
4.今後の電力システム改革の在り方

の章立てで進められ、東京電力の事業形態の昔(2000年以前)~将来の予想、電力自由化のメリット・デメリットや再生可能エネルギーのお話、福島第一原子力発電所事故の収束への取り組み、直近のウクライナ情勢がもたらす影響や株式会社JERA(国内の火力発電・ガス事業を扱う、東京電力フュエル&パワー株式会社と中部電力株式会社との合弁会社)に触れるまでの幅広いお話となりました。

福島復興へ向けた取り組みとしては、原子力損害賠償支援機構設立の経緯から福島第一原子力発電所事故の責任を東京電力が果たすまでに必要な金額までを詳細に説明していただいたあと、農業・漁業への風評被害の払拭に向けて営農再開のお手伝いや販促イベントの開催などを紹介されました。

再エネへの取り組み・カーボンニュートラルについては現代の重要課題だけに、特に時間を割かれました。
東京電力エリアにおける電力需要の推移のグラフは東日本大震災の直前に需要の最高値を記録して以来ほぼ横ばいとなっていましたが、これは経済成長による緩やかな増と、省エネ技術による減が拮抗しているということです。このように図表を多く用いた分かりやすい説明をしていただき、学生たちは資料にメモを残しながら真剣に聞いていました。

太陽光発電・風力発電の出力変動についても、グラフを示しながら、「ギザギザの発電(=再エネ発電の不安定さ)をどこかでカバーしなきゃいけない」と解説し、蓄電池の活用は「再エネ電源がもたらす様々な課題を解決する」と、東京電力も研究開発を進めている蓄電技術やその特性をも教えてくださいました。

電力を含めたエネルギー問題を今後の予想も含めて丁寧に話してくださり、未来を見据える学生たちにとって非常に有意義な時間となりました。講演後には秋月さま宛の質問が多く寄せられていました。