経済学部

経済学部生も参加したFLP国際協力プログラムの期末成果報告会にて、JICAの特別講演が行われました

2022年12月10日(土)、多摩キャンパスにてFLP国際協力プログラムの期末成果報告会が開催されました。午後4時過ぎからJICAの特別講演が行われました。それに先立ち、午前10時からFLP国際協力プログラムの9つのゼミの約50チーム(個人も含む)が、3会場に分かれて、2022年度の研究や活動の成果について発表を行いました。FLP国際協力プログラムおよび経済学部の林光洋ゼミ(以下、林ゼミ)も参加し、午前中にはユニセフとの合同講演会や高校・中学校での訪問授業の実施など今年の様々な活動報告を、午後にはフィリピンにおける3つの研究の発表を行いました。

林ゼミ、3つの班の研究発表

農村ツーリズム班はフィリピン農村部の衰退や貧困層の集中といった課題に着目しており、農村地域が新たな収益の柱としてツーリズムを取り入れた場合の様々な影響について調査と分析を行ってきました。講評を担当した教員からは、日本における農村ツーリズムも実際に体験してからフィリピンで現地調査を実施したことや、研究の限界を自ら指摘したことを評価してもらい、「限られた事例やデータの収集に留まっているものの、これまでの農村ツーリズムが有用であるという言説を鵜呑みにせず、自分たちで検証したところを評価したい」というコメントを受けました。

マイクロインシュランス班の研究は、社会保険制度が未整備である途上国において低所得者層向けに低価格で提供される保険商品について調べ、自分たちなりの観点で現状分析と評価をするものです。1,000件を超える利用者アンケートを集めるなど、粘り強い調査活動を行いました。講評では、国内外で11もの機関・団体に聞き取り調査を実施したことを評価してもらいました。発表を聞いていた学生からもアポイントメントの取り方などに関する質問を受け、フロアーの関心をひいていました。

ウェイストピッカー班は、フィリピンの貧困層が生計を立てるために行う「ゴミ拾い」が、劣悪な労働環境から脱して「働きがいのある仕事」となるために、組織化がカギを握ると考えました。フィリピンのウェイストピッカーの3つの団体にインタビュー調査を行い、先行研究を参考にして作成した14の基準で評価・比較。そうして得た研究結果からは、組織化されたウェイストピッカーは多くの利益を得ていることが明らかになっていました。

JICA職員による特別講演

夕方までに3教室に分かれて約50の報告が行われたあと、最後にこの日の特別プログラムとして、JICA理事長特別補佐の戸川正人さま、職員の高田健二さま(JICA東京国際センター企画役/島根県立大学客員教授)による講演が行われました。

講演テーマは「国際協力という選択―ODAの役割、JICAの業務、JICA職員の仕事―」で、まずは戸川さまがご自身の体験談を交えながら、JICAの組織概要や仕事内容などを説明され、「JICA職員の仕事はプロデューサー的な仕事である。地味な役割も多い」という本音の部分も聞かせてくれました。また「職員の1日のスケジュール」や「採用人数の実績」など、元人事部長であった戸川さまならではの非常に具体的な情報を教えてくださいました。

続いての高田さまは手元にサッカー日本代表のサイン入りユニフォームを取り出しました。2013年のW杯、ヨルダン国で開催のアジア最終予選にて、同国に駐在していた高田さまが、現地の日本人と日本代表選手の交流企画を立案・運営した際の思い出の品ということでした。これを皮切りに、ご自身のさまざまな活動・実績を「良いキャリアを築くためのマインド」のお話に繋げられました。キャッチーにまとめられた7つのポイントは学生に響くものがあったようで、前のめりに聞き入る姿が見られました。

最後に質疑応答の時間になると、フロアーの学生からは「国際協力の分野で文系が強みにできることはなにか」や「支援する相手といい関係性を築くにはどういった方法があるか」など、多くの質問が寄せられました。お二人は予定時刻を過ぎてもなお、ご自身のエピソードを交えながら丁寧にお答えくださり、万雷の拍手に包まれて講演は幕を閉じました。