経済学部

経済学部「公益企業論」に福岡eスポーツ協会会長の中島さまがオンラインで登壇されました

12月9日(金)、経済学部の講義「公益企業論(後藤 孝夫)」において、福岡eスポーツ協会会長の中島賢一さまによる特別講義(リモート登壇)が行われました。

中島さまは民間IT企業を経て福岡県庁に入庁、「福岡県Ruby・コンテンツ産業振興センター」の立ち上げなどIT・ソフトウェア・コンテンツ産業の分野に足跡を残されました。2018年には福岡eスポーツ協会を立ち上げ、現在はNTT西日本にてイノベーション戦略室ソーシャルプロデューサーを務めるなど、30を超える肩書で幅広く活躍されています。
この日は「eスポーツがインストールされた社会がもたらす新しい価値」というテーマで、eスポーツの現状と今後の可能性についてお話くださいました。

現在世界のゲーム市場は20兆円産業まで成長し、ゲーム人口は約30億人以上と言われています。その中で「相手がいる」ものがeスポーツと定義され、情報をどう分析するか、それをどう入力(指先など)するかにスポーツ性が見出されています。
日本はeスポーツへの取り組みが大きく遅れており、首位を争うアメリカ・中国、その下に居並ぶアジア諸国にも引き離されていましたが、中島さまや関係者の尽力で認知度も向上してきています。2020年には世界最大規模の対戦格闘ゲーム大会「EVO」が福岡で開催され、各国から1.3万人が来日・世界同時配信をのべ550万人が視聴するなど、大きな反響があったことが動画で確認できました。

後半では、eスポーツの持つさまざまな可能性が実例とともに紹介されました。介護施設のレクリエーションのエピソードでは「体力を必要としない」「運動神経や年齢では優劣が決まらない」といったゲームの良い点が活かされており、さらにはテクノロジーによって対戦画面の見せ方を変える(より映えるように整える)ことでプレイヤーがより楽しめるようになるといった面も見られました。
地方活性化の例では、オンライン空間と親和性の高いゲームならではの「現地のキャパシティーを気にしないでよい」イベントの実施例が紹介されました。
ゲームというコンテンツが操作・見せ方・空間を進化させるテクノロジーと、参加する人々の意識の変化によって、新たな価値を持ち始めていることがいずれの例でも実感できました。

最後に「産業」としての実態も数字を並べながら説明くださり、スポーツから派生する「用品」「情報サービス」「施設・空間」の各種商材・ビジネスは同様に展開していけるだろうと、スポーツ産業にeスポーツを重ねて、その可能性を示されました。興業としてはマネタイズの仕組みが育っておらずスポンサー頼みの現況ですが、観戦チケットを販売するなどの形に変えていきたいとの意気込みも聞かせてくださいました。

ゲームという身近で魅力的な分野だけに、多くの学生が飽きることなく講演を聞いていました。自身も世界ランクに名を連ねるゲーマーである中島さまのお話は、学生たちに非常に刺激になった様子でした。