経済学部

経済学部「国際開発論」(林 光洋)で公開授業 ―フェアトレード・ラベル・ジャパンの潮崎さんが講演―

10月4日(火)の3限、経済学部の授業「国際開発論」(林 光洋)において、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長の潮崎真惟子さんによるオンライン講演が行われました。この講演はフェアトレードについて活動する中央大学の学生団体「FACT(中央大学フェアトレード委員会)」が企画・準備しており、講演依頼から当日の司会進行までを務めました。

まず、FLP国際協力プログラムの林光洋ゼミが2007年に立ち上げたFACTのメンバーが、同団体の活動内容やフェアトレードの定義や役割について説明しました。FACTは、今回のような講演会の企画・実施、白門祭でのフェアトレード商品の販売、中央大学生協とコラボしてのフェアトレード・フェアの開催、勉強会や訪問授業の実施といった活動を通じて、フェアトレードの普及、啓発に努めています。

FACTからバトンを受けた潮崎さんは、最初に、ご自身のキャリアについて説明をしてくださいました。途上国の貧困問題に関心があり、開発経済学を専攻した大学、大学院時代の経験から「NGOは経営に問題がある。NGOに対する経営コンサルティングが必要ではないか」という結論を得て、大手コンサルティング企業のデロイトトーマツに就職。NGOや政府などへのコンサルティングを担当する中で出会った「フェアトレード」に惚れ込み、もっと現場で最後まで変えたいという思いを強くもったということです。その後に仲間とコンサルティング会社を新規に立ち上げ、2021年4月からフェアトレード・ラベル・ジャパンの事務局長に就任されました。

潮崎 真惟子 さん

デロイトトーマツ時代にもプロボノ活動(専門家として働いている人が、その専門スキルや経験を活かして行うボランティア活動)でフェアトレードに携わっていたことなど、国際協力分野のNGOにつながるキャリアの積み方は、学生にとって非常に参考になるものと思われました。

講演は4つのセクションから構成され、フェアトレードという枠組みがなぜ必要か、今のビジネス取引は公正ではないのか、といった背景から始まり、フェアトレード認証の仕組みやその基準、取り組みの効果の解説がありました。「認証」という「信頼できる仕組み」が企業間の「相互信頼」を醸成し、企業が参入することで市場が拡大して生産者へのインパクトが大きくなったという一連の流れを解説してくださいましたが、特に「信頼により市場を広げた」という言葉が印象的でした。

続いて、近年の市場動向のセクションでは、「ビジネスと人権対応」を中心にした説明となりました。各国のビジネスと人権に関連した法律の整備状況や消費者の意識変化、エシカル(倫理的)商品の市場規模の拡大などを、データを提示しながらお話しくださいました。今年で2回目の開催となったフェアトレード啓発キャンペーンについて、工夫を凝らした点などの具体例を含めて紹介されました。
最後に、大学生・一消費者にもできることとして「消費は投票」という言葉を挙げられ、「企業は、若者の皆さんの行動を実はすごく意識しています」と、講演を締めくくられました。

生産から流通・小売までの非常に幅広い話でしたが、身近な企業・ブランドも登場したので学生の関心も高く、質疑応答の時間には様々な質問や感想が寄せられました。この授業に参加した学生たちは、社会に出たらフェアトレードのよき理解者になってくれるはずです。