経済学部

経済学部教授 渡邉浩司編集の『フィリップ・ヴァルテール先生古稀記念論文集』が刊行されました

経済学部教授 渡邉浩司が編集を担当した『フィリップ・ヴァルテール先生古稀記念論文集』が、CEMT Editions(東京神話学研究会出版)から刊行されました。中世フランス文学や比較神話学の分野で世界的に有名なフィリップ・ヴァルテール先生(フランス・グルノーブル=アルプ大学名誉教授)の70歳の誕生日をお祝いするために企画されたものです。論文集のタイトル(Si est tens a fester)は「今こそ祝宴を催すべき時」というメッセージを中世フランス語で記したものですが、それはヴァルテール先生の古稀祝いと同時に、先生が中世フランス文学に現れる祝祭の専門家であることを示唆しています。

この論文集にはフランス、日本、台湾から21名の研究者が寄稿し、共著論文を含むフランス語論文11編と英語論文6編のほか、ヴァルテール先生の業績目録(2012年以降のフランスでの業績と、1995年から2021年までの日本の業績)が収録されています。収録された論文のテーマは、文学・神話学・民族(民俗)学・歴史学・考古学・美術史など多岐にわたります。このうちアーサー王伝説を扱った論文は6点あり、この分野での世界的権威であるヴァルテール先生へのオマージュとなっています。

ヴァルテール先生は大の親日家であり、これまで21回も来日され、比較神話学のシンポジウムで貴重な報告を毎回されてきただけでなく、北海道から沖縄にいたる各地の大学で講演も行ってきました。今回の古稀記念論文集に寄稿して下さった日本人研究者の多くは、ヴァルテール先生の講演会に携わって下さった方々です。ヴァルテール先生は中央大学でも、人文科学研究所主催の公開講演会を6度担当してくださいました。また、中央大学出版部からそれぞれ2019年と2021年に刊行された『英雄の神話的諸相』と『ユーラシアの女性神話』は、世界の神話に関心を寄せる日本の読者のために構想された論文集です。ヴァルテール先生にはこれからも日仏の架け橋として、ますますご活躍いただきたいですね。

ヴァルテール先生の誕生日を祝う企画は、これが初めてではありません。今から20年前には、今回と同じく渡邉浩司が編集を担当した『フィリップ・ヴァルテール先生50歳記念論文集』を、CEMT Editionsから同じフォーマットで刊行しました。「すべての人が同じ太陽を目にした」(Tous les hommes virent le même soleil)というタイトルのこの論文集には、ヴァルテール先生にお世話になった12人の若手研究者が、フランス、アイスランド、イラン、ロシア、日本からフランス語で論文を寄せました。

今から10年前には、渡邉浩司がフルール・ヴィニュロン氏(フランス・グルノーブル=アルプ大学准教授)と編集を担当した『フィリップ・ヴァルテール先生還暦記念論文集』を出版しましたが、これは企画から刊行までに数年を要した大プロジェクトでした。2012年秋にPeter Lang社から『諸神話の声・諸文明の学』(Voix des mythes, science des civilisations)というタイトルで刊行されたこの論文集には、フランス、ドイツ、ベルギー、スペイン、ポルトガル、アイスランド、南アフリカ、メキシコ、ルーマニア、日本から計37人が参加しました。共著を含む34編の論文は、印欧神話、中世ヨーロッパの神話と文学、フォークロアと民間伝承、神話批評と神話分析という4つの分野にまたがり、ヴァルテール先生の幅広い研究領域を反映したものとなっています。

以上3つの論文集は、中央大学の中央図書館が所蔵していますので、関心のある方はぜひとも現物をご参照下さい。