経済学部

「国際協力を動かしているのは誰か」。経済学部「国際協力論」(林 光洋)でJICAの下田さんが特別講義

2022年07月01日

2022年6月28日(火)、1時限目の「国際協力論」(林光洋)において、現在JICA(独立行政法人 国際協力機構)から廃棄物・3R研究財団へ出向している下田 透さんをお招きして「誰が国際協力の世界を動かしているか」というテーマの公開特別授業が行われました。

冒頭の自己紹介では、鹿島建設時代にアフリカのガーナで道路工事に携わり名誉酋長となったことや、その後米国の大学院へ留学した際に気づいた「米国エリート」の行動様式など、面白いエピソードを挟みながらJICAに社会人採用で入構したことをお話しくださいました。「アフリカの水を飲んだ者は帰らずにいられない」という言葉のとおり、JICA入構後は一貫してアフリカでの業務を希望され、アフリカ関連の仕事に長く従事されていたとのことです。
日本人初、女性初の国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんが、なぜJICA理事長に就任されたのかについての秘話もご紹介くださいました。

講演の前半は、「すべて個人的な見解であることを付言する」とした上で、戦後の国際協力(国際援助)の潮流について、JICAはもとよりIMFや世界銀行、OECDといった関連機関や各国の動き・思惑をお話しくださいました。さらに、国際協力を、「宗教が与える影響」、「アフリカは本当に貧しいか」、「経済的勝ち組を支援する機関と負け組を支援する機関」といった刺激的な切り口から説明してくださいました。 アフリカの支援や開発については、「経済成長がすべての価値ではない」、「アフリカの人々は(昔の)日本人と似た価値観をもっている」、「そもそも先進国の豊かさをよしとする価値観に疑問を感じる」と語られました。開発協力には、技術面や経済的合理性を超えた社会学からのアプローチが必要であり、途上国固有の経済学が求められている、という見解は大いに考えさせられるものでした。

後半は、日本のODAの実施機関であるJICAについて、組織形態の説明のほか、「JICA職員になるために」と題して、職員が意識すべきことや経済学を専門として活躍できる開発協力の場、さらにJICA経済政策分野の技術協力プロジェクトが掲載されているWEBサイト、JICA運営の求人サイトなどを紹介してくださいました。これらの具体的な情報・アドバイスは、国際協力に携わることを夢見る学生の背中を強く押してくださるものでした。

4時限目から参加された経済学部およびFLP国際協力プログラムの林光洋ゼミの授業では、3年生が3班に分かれて進めるグループ論文の研究計画を発表しました。下田さんは熱心にお聴きくださり、「フィリピンにおける農村ツーリズムが地域にもたらす影響」を研究する班に、「日本の地方の取り組みや『道の駅』なども調べ、比較検討してはどうか」とアドバイスするなど、3つの班の研究計画それぞれに問題点の指摘やアイデアを提示してくださいました。
5時限目は、ゼミ学生からの質問に対して下田さんが1つ1つ回答してくださいました。アフリカ駐在時代の質問が出た際には、エピソードを交えながら、アフリカへの熱い想いを語ってくださいました。ゼミ学生にとって非常に有意義な時間となりました。