経済学部

公開授業「平和構築という仕事:学部生からのキャリアを振り返って」を行いました。

2015年12月11日

経済学部の「国際公共政策」(担当:佐々木創准教授)の授業の一環で、中央大学のOGで、武装解除や平和構築に関わる日本人の第1人者である、特定非営利活動法人・日本紛争予防センター(JCCP)・理事長 瀬谷ルミ子氏をお招きし、12月3日(木)に公開授業を行いました。

講演の冒頭、2015年は、ISILによる日本人人質殺害事件、戦後70年、安保関連法案など、平和と紛争を考える機会が多い年であったことや、この70年間、日本は直接戦争に巻き込まれることがなかったが、世界では約500を超える武力衝突があったことを示されました。また、近年ではテロが多発しており、紛争地でなくても、巻き込まれる危険は増えており、テロが生まれる不満や格差などを根本的な問題を解消する平和構築が必要であることを強調されました。

「選択肢」と「行動」というキーワードを示した上で、ご自身のキャリアを振り返りながら、高校生の時に新聞で見たルワンダ難民の写真がきっかけになり、学部時代にルワンダにホームステイする機会を得たが、スキルや専門知識がなければ、全くの役立たずであることを現地で痛感し、事務作業含め日本で身に着けられる実務経験はすべて積んだうえで大学院に進学したこと、その後NGO、国連、外務省で武装解除の専門家として活躍する中で、中東・アフリカでは植民地支配も軍事介入していない中立性や戦後復興したことが日本の強みであることに気が付く一方で、加害者は武装解除することで社会復帰支援を受けることできるが、家族を殺された被害者との格差が生まれており、加害者になった方が得をする構造であれば、再び紛争が起きてしまうこと懸念し、現在のJCCPの活動に結びついていることをご講演頂きました。

現在のJCCPの活動地域は、他の支援団体がいないところで、治安の改善・自立支援・経済的自立の3つを目的に、紛争地での人材育成と能力強化を通じて、「被害者・加害者」が「問題解決の担い手」となれるようにする活動内容を写真や動画を交えてご報告いただきました。また、Art For Peace(※1)というケニアの子どもたちの絵をグッズ化し、笑顔と希望を取り戻す!というクラウドファンディングを利用した新しいご活動もご紹介頂きました。

 講演後の質疑応答では、対立していた部族間で信頼醸成を行うためには?という質問に対し、異なる部族間で清掃活動を実施し、その中から得られたリサイクル資源の売却益を、参加者に配分し、その結果、収益を得ようという経済インセンティブが働き、部族間でもどこで収集するかなどの情報交換が進み信頼が生まれるということもあったなど、具体的な事例で報告頂きました。

 

(参考)Art For Peace(※1) https://a-port.asahi.com/projects/jccp_artforpeace