総合政策学部

学部長メッセージ

堤 和通

堤 和通 中央大学総合政策学部長

総合政策学部が中央大学の6番目の学部として誕生したとき、冷戦の終結や新たな国際紛争、日本における55年体制の崩壊など、社会は予期しない変化の中にありましたが、現在の社会情勢は内外ともに不確実性を増し、予期しない変化がルーティンであるかのような状況です。

このような社会情勢は、総合政策学部の複眼的な学び、それも、政策と文化の両面を見据えた学びを必要としています。将来を志向し社会を改革するときに、社会に根付いた文化、価値観を無視することはできません。改革に向けて社会全体に効用をもたらそうとするときに、そこに暮らす人々の日常からの景色を見逃してはならず、一部の個人や集団が社会全体の仕組から漏れてしまい、尊厳が否定されることがないようにすべきでしょう。

総合政策学部はこれを実現するために、二つの学科で構成するカリキュラムを設けています。政策科学科では、法学、政治・行政学、経済・経営学の系統的な学修を、国際政策文化学科では、民族、宗教、芸術に関する基礎科目に始まり文明論や社会文化論に及ぶ学修を進め、いずれも同時に、市民社会論や政策文化関連論などで複眼的な思考を深めます。

中央大学の多摩キャンパスではグローバルな学びを柱の一つとして改革が進んでいます。総合政策学部は誕生以来英語教育に重点を置くと同時に、英語以外にも九つの言語と九つの地域にわたる社会文化論、さらには、比較文化や文化交流の科目を置くなど、グローバルな視点と、多様で共約できないローカルな視点を兼ね備えたグローバル・スタディを展開します。

学際的な学びを掲げ、問題志向の思考を養うディプロマポリシーの考え方には多様なものがあります。問題領域に沿った学際性を目指すというのもその一つですが、総合政策学部は政策と文化の学びを架橋する学びが、社会の変化や時代に即した、そして、一人ひとりの学生の興味関心に応えるものになると考えています。様々な政策課題に応える汎用性を持つと同時に、問題領域に合わせてそれに適合する解決策を仕立てる力を育むものです。

これまでの学問領域をそのまま踏襲しないチャレンジングな理念を掲げていますが、不完全であるからこそ強靭で、疑うからこそ賢明であるという教え(映画『Darkest Hour』より)を実践する学びの場として前進していきます。