国際情報学部

株式会社野村総合研究所に内定

株式会社野村総合研究所に内定! 田村優奈さん

iTLを進学先に選んだ理由を教えてください。

受験当時、私は広告やSNSなどによる情報発信が人々に与える影響に興味を持っていました。単に影響と言っても、学びたいと考えていたのは、ポジティブな側面より、情報発信がもたらすネガティブな側面でした。特に、SNSは便利で必要不可欠なツールである一方で、責任能力がない未成年者が、簡単に自分の主張を社会に発信可能であることに不安を感じていました。連日のようにテレビで報道される誹謗中傷や個人情報流出などのニュースを聞き、まさに情報分野において「ルールが整備されていない」状態だと考え、情報とルールについて学ぶことができるiTLに進学することを決めました。

iTLの授業科目の中で最も印象深かった科目を教えてください。

情報分野では、「システムコンサルティング技法」の講義が最も印象に残っています。これから私自身が働くことになる業界において、よく発生する問題と対処法について学ぶことができました。より現場に近い実践的なテーマの講義が多い一方で、なぜ私たちが情報と法律を同時に学んでいるのかといった基本に立ち返ることもできた講義でした。
法律分野では、「民事法(情報不法行為法)」の講義が最も印象に残っています。入学当時は、どちらかというと法律分野ではなく、情報分野を学びたい気持ちが強くありましたが、法律の講義を受講するうちにその面白さに気づくことができました。特に民事法はより身近な場面を取り上げることが多く、法律に当てはまる具体的な事実のピースを1つ1つ組み立てていく様が、パズルのようで大変興味深かったです。

ゼミでの研究テーマを教えてください。

卒業制作のテーマは、「XML例規ビッグデータの一括検索システム」の開発です。このシステムは、全国自治体のXML例規ビッグデータの中から、AIを使って対象の問題に関連する複数の必要XML例規データの一括検索を可能にするものです。例えば建築業界が長年抱える問題でもある、建築物を設計する際にどのような法律や例規が関連するのか、一括で検索したいという要望にも応じることができるようになります。既にHTML形式の例規データを検索するeLenというシステムは存在しているのですが、関連性を自動判定できるようなものではなく、世界標準でもあるXML形式の例規データについてもデータベースシステムがない状態でした。このシステムを完成させることで、全国横断的なXML例規データの検索や、利用者の意図に着目した例規のクラスタリングで関連例規の検索なども可能となります。

ゼミの中で自分が成長できたと思うところを教えてください。

大人や社会人として当たり前の姿勢を身につけることができたと思います。特に印象に残っているのは、子供と大人の違いは「もらう」だけでなく、「あげる」ことができるかであるというゼミの教授の言葉です。高校生までは、学校の先生や両親から当然のように「もらう」だけで、私たち自身が価値提供を行うと言ったことがありませんでした。しかし社会で必要とされるのは、「もらう」ばかりの子供ではなく、社会に価値を「あげる」ことができる大人の存在です。大学は、その分野の専門家が集結した恵まれた環境であることに感謝し、様々な学びや経験の機会を自ら掴む姿勢を持つことで、「あげる」ことができる大人へと成長する場所なのだなと今は感じています。ゼミではこの姿勢について特に身をもって学ぶことができたと思いますし、社会人として恥ずかしくない大人に成長できたと考えています。

アルバイトやインターンシップ、サークル等、正課外の活動について教えてください。

インターンシップを始めとする就職活動に力を入れたと思います。夏のインターンシップのエントリーが開始する3年生の5月ごろは、企業の名前はおろか業界への理解もない状態にありました。様々な業界の説明会やインターンシップに参加していく中で、自分が本当にやりたいことや適性の高い業界や職業を探し続けました。これらの就職活動を通して得たものは自分の現状への理解でした。大学という狭い世界に留まらず、社会という大きな場所へ出た時に、今の私に不足しているスキルや成長すべき点について、気付かされる機会が多くありました。一方で、既に長所として持っているスキルを用いて自分自身が社会に提供できる価値についても理解することができ、自信にも繋がりました。

大学生活を経て、なぜその内定先に応募しようと思ったのか教えてください。

大学の研究室で助手としてアルバイトをする中で、実際に企業と協力して一連のシステム開発を経験させていただく機会がありました。その経験の中で繰り返し教わったのが、システムは認識論的存在であるということでした。これが意味するのは、システムは物理的に存在するのではなく、人々の認識の中に存在しているということです。企業側と私たちの認識が異なってしまうと、問題を根本的に解決するシステムは作ることができません。そこで企業側に何度もインタビューを行い、何に困っているのか、なぜシステムが必要なのか、そして本当にシステムが必要なのか、お互いの認識を合わせてそれぞれの暗黙知を形式知としました。このようにお客様に寄り添って深いコミュニケーションを取りながらシステムを開発していくことの難しさと面白さを経験し、これをきっかけにIT業界にエントリーすることにしました。特に野村総合研究所はインターンシップの時から、お客様に寄り添って認識を合わせていく点を重要視したアドバイスをしてくださいました。例えば、お客様に見せるソリューション提案のスライドなどについても、言葉の定義から始まり、図やイラストについてもお客様の立場になり細かく指示をしていただきました。その曖昧なものを1つ1つ明確化していくスキルやお客様に対する姿勢が、まさに野村総合研究所の強みであると感じ、エントリーさせていただきました。
将来的には、様々な分野での仕事を経験し、多くの観点からの意見を取り入れることができる視野の広い人として活躍していたいと考えています。大学でも情報と法律という異なる二分野からの観点で学びましたが、入社してからはより多くの異なる分野の中に入り、実際に現場に関わる機会が増えると思います。1つ1つの分野で現場に寄り添って深く学び、それらの経験を活かして様々な観点をもつことができるようになりたいです。また当たり前だと思うことに疑問を投げかけることができるような人でもありたいと思います。業務の中で得た経験や知識を活かす一方で、それらに捉われず常に物事に懐疑的になり、新たな考えを生み出すことができるような人でもありたいです。

iTLでの4年間はいかがでしたか。

1期生として入学し、初めは不安なことが多くありましたが、4年間を振り返ると実りの多い大学生活をiTLで過ごせたと思います。特に情報分野だけでなく、法律分野もカリキュラムに組まれていたことで、学ぶことが多くありました。異なる分野に見える2つがどう関わっているのか、深く学んでいくことで繋がりを見出し、教養を得ることができました。実際に、私たちが生活している社会も多くの分野が影響しあっているため、1つの観点だけで物事を捉えるのではなく、多角的に知識を深めることができたのは良い学びになりました。また企業で実際に働いておられた先生が多く、より実践的な現場での経験を聞くことや、実際に参加させていただく機会を得ることもできました。

受験生へのメッセージをお願いします。

大学受験は人生の中でも大きな岐路の1つであり、まだ自分が何に興味を持っているのか、どのような道に進むべきか多くの選択で悩むと思います。しかし、私自身、入学当時とは異なる進路を選択することになりましたし、また何年か後には今は想像できないようなことをしているかも知れません。悩むことも大事ですが、今の自分の考えや感情を大切に、先のことを考えすぎずに進路を選んでほしいと思います。私は大学時代の出会いや経験に恵まれたおかげで、自信を持って社会に出ることができます。皆さんにもこれからの大学生活でそういった出会いや経験があることを祈っています。頑張ってください!