国際情報学部

国際情報学部長挨拶

石井 夏生利 国際情報学部長

 2019年4月、国際情報学部は「情報の仕組み」(Information Technology)と「情報の法学」(Law)の学びを融合させるという新たな発想に基づき設立されました。私たちは、現在、様々な情報技術に囲まれながら生活を送っています。世代を問わず多くの人がスマートフォンを利用し、SNSを主な情報源にする人も増えています。企業ではクラウドサービスの利用が不可欠となりました。さらには急速な生成AIの発展に伴い、各国の技術開発競争が激化しています。このように、新しい技術が次々と登場すると、未来予測が難しくなり、皆さんは将来の展望を見つけることを難しいと感じているかもしれません。そのような時代に求められる力が、情報技術(IT)で何ができるのかを学ぶ「情報の仕組み」、そして、法的には何が許され、何が許されるべきではないのかを学ぶ「情報の法学」(Law)です。例えば、生成AIは、対話型、要約型、画像生成型、動画生成型、音声生成型、コード生成型などの様々な種類に分かれ、多岐にわたる場面で利用されています。そして、生成AIが学習モデルを作成するためには大量のデータを収集する必要があります。しかし、そのデータに著作物や個人情報、企業秘密が含まれていたら法的に問題になるかもしれませんし、学習モデルにバイアスがかかっていると、生成AIが不適切な回答を出す可能性もあります。新たなサービスが私たちのどのような情報を収集し、どのように扱っているかを正しく理解するためには、情報技術の知識が必須です。そして、情報の取扱いが法的に適切であるのか、あるいは法令に不備があり、新たな立法を必要とするのか等を考察するためには情報法の知識が必須です。生成AIに依存し、惑わされるのではなく、生成AIを正しく使いこなす素養を身につける力が求められています。

 私たちは、皆さんに「情報の仕組み」と「情報の法学」を学んで頂くことで、激動する社会を生き抜く力を得て欲しいと考えています。国際情報学部は、ITとLawを総合して「iTL」という通称を用いています。そして、iTLは、国際情報学部の学び舎である市ヶ谷田町キャンパスが人と社会とを「Link」する「Ichigaya Tamachi Link」という意味も併せ持っています。皆さんにも「iTL」という名称を覚えて頂けると嬉しいです。

 そして、国際情報学部は、ITとLawという2つの柱に加え、第3の重要な柱として「グローバル教養」を掲げています。大量の情報は瞬時に世界中を駆け巡り、それがイノベーションの起爆剤になることもあれば、問題を引き起こす原因にもなります。そうした状況を的確に捉え、社会の適切な方向性を見いだす上では、グローバル教養を身につけることが不可欠です。そのための学びの1つは、世界の共通言語である英語力の修得です。最近はAIが翻訳を助けてくれるようになり、とても便利になりました。また、日本語での生活に慣れていると、英語力の修得は容易ではないかもしれません。しかし、英語は人間同士のコミュニケーションの手段です。この力を高め、グローバルな舞台で英語を使いこなせるようになると、見える世界は格段に広がります。もう1つの学びは、異文化間の相互理解を可能にするための教養です。英語力に加え、他国との相互理解を深めるためには、異文化間の理解が求められます。国際情報学部では、哲学、倫理学、社会心理学や国際文化論、比較文明論など、皆さんの視野を広げるためのカリキュラムを用意しています。

 国際情報学部の卒業生は、大手シンクタンク、国内外の様々なIT系企業、大手金融機関、報道機関、官公庁、国立の研究機関、大学院など、様々な就職先を開拓し、活躍の場を広げています。私たちは、「情報の仕組み」、「情報の法学」、「グローバル教養」という3本柱の学びに関心を持ち、自覚と意欲を持って学習に取り組んで頂ける皆さんの入学を心よりお待ちしています。

国際情報学部長 石井 夏生利