国際情報学部教授 石井夏生利の専門分野は、情報法、プライバシー・個人情報保護法です。著書に、『EUデータ保護法』等があります。
このたび、学術雑誌『情報通信政策研究』第9巻第1号(総務省情報通信政策研究所, 2025年12月23日)の特集「データ利活用の未来~AI社会実装時代の展望と課題」に石井の論文が掲載されましたのでご案内いたします。
2025年12月に全面施行された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(スマホ新法)」。スマートフォンにおけるモバイルOS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジンといった「特定ソフトウェア」の分野で、公正な競争環境を整備し、多様なサービスを利用者が選べるようにすることを目的としています。
スマホ新法の施行により、第三者による代替アプリストアや決済手段の選択肢が広がる可能性がある一方、セキュリティや安全性に関する懸念も示されています。
論文の中で石井は、スマホ新法について、競争政策、消費者保護、プライバシー・セキュリティの観点から批判的に検討しています。具体的には、Appleに不利になるよう規制や課徴金が定められており偏向的であること、手数料規制に伴うフリーライドの問題、消費者被害のリスクを誘発する可能性、EUのデジタル市場法(DMA)を十分に検証しないまま導入された立法過程の問題点、正当化事由の要件の解釈や適用範囲が狭く、セキュリティに深刻な懸念をもたらすことなどを指摘しています。
その上で、OS機能の開放や代替アプリストアの導入などが利用者の安全を脅かす可能性があることを踏まえ、競争、データ保護、消費者保護、のバランスを欠かないようにすべきこと、これらの観点に加え、サイバーセキュリティを重視した制度設計が必要であることを強調し、同法の抜本的な見直しを求めています。