中央大学国際情報学部4年の田畑美徳さんが制作したドキュメンタリー「あしたよなあ-不時着した特攻隊員-」(38分)が、「地方の時代」映像祭(MHK、民放連等主催)で奨励賞(市民・学生・自治体部門)を受賞しました。
また、同作品は、新宿ケイズシネマで開催される「東京ドキュメタリー映画祭」で、劇場上映も行われます。12月3日(火)18:50 / 12月9日(月)10:00の2回上映。
<ドキュメンタリーの内容>
死を覚悟して飛び立ったものの不時着した特攻隊員は、どんなことを考えたのだろうか。そんな疑問が、このドキュメンタリーを制作するきっかけだった。
鹿児島県に黒島という小さな島がある。太平洋戦争末期、知覧や鹿屋を出撃し沖縄を目指す特攻隊は、この黒島を通過点の目印にした。しかし、エンジンの不調などで引き返したり、不時着したりする機体が相次いだ。
黒島には10人の特攻隊員の遺体が流れ着き、6人の特攻隊員が不時着した。瀕死の重傷を負った隊員を、島民たちは必死で看護した。そして、無事に回復し、終戦を迎えて、生き延びた人もいる。一方で、再出撃した隊員もいる。
安部正也少尉(明大卒)は再出撃を望んだ。そこで、中央大学OBの安永克己氏は安部少尉を載せた小舟を漕ぎ、黒島から鹿児島本土まで渡り切り、最後は知覧まで送り届けた。安部少尉はその後、再出撃し、医療品やチョコレートを黒島へ投下した後に、沖縄方面に向かったとされている。
黒島で毎年開催される慰霊祭に参加した際、この島の出来事を演劇で語りつなごうとする高校生たちと出会った。本作品は、黒島を舞台とした島民と特攻隊員の交流、「特攻」という悲劇、そして、記憶を未来へつなぐ高校生たちの思いを描いた。
〈制作協力〉三島村役場 小林ちえみ 鹿児島県立伊集院高等学校演劇部 知覧特攻平和会館
〈資料提供〉 小林広司(2015)『黒島を忘れない』西日本出版社 知覧特攻平和会館 アメリカ国立公文書館 中央大学資料館事務室
〈制作補〉 山崎滉大(国際情報学部4年)
〈制作プロデューサー〉田畑美徳 征矢佳眞(同)
〈制作統括〉 松野良一 (国際情報学部教授)
〈語り・監督〉 田畑美徳
〈制作著作〉 中央大学国際情報学部 松野良一ゼミ
<田畑監督のコメント>
奨励賞を受賞することになり、取材にご協力いただいた皆様には、心より感謝申し上げます。映像作品のタイトルである「あしたよなあ」という言葉は、黒島の方言で「明日会いましょうね」という意味です。とても素晴らしい言葉だと思います。しかし、特攻隊員には、今日はあっても明日はありません。
いつまでも本当の意味で、「あしたよなあ」と言い合える平和な世の中を、私たちが守っていかなければなりません。黒島の物語を演劇で語りつごうとしている鹿児島県立伊集院高校演劇部の舞台に、私自身、強く触発されました。この映像作品をきっかけとして、これからも戦争の記憶を未来へつなぐ作品制作を目指します。
「地方の時代」映像祭入賞作品一覧:https://www.chihounojidai.jp/work/2024.html
「東京ドキュメンタリー映画祭」:https://tdff-neoneo.com/lineup/?id=shortmovie
ドキュメンタリー「あしたよなあ-不時着した特攻隊員-」は、こちらのサイトでご覧いただけます。
「多摩探検隊・にっぽん列島探検隊」:https://www.youtube.com/@TamatanArchives