国際情報学部

国際情報学部の授業において、初代個人情報保護委員会委員長である堀部政男先生をお招きし、講義が行われました

2021年06月21日

堀部政男先生

2021年6月4日・11日、国際情報学部_iTL_の授業科目「情報プライバシー権法」(担当教員:本学部教授 石井夏生利)において、個人情報保護法の第一人者である堀部政男先生をお招きし、講義が行われました。

「個人情報保護法の制定と改正」、「個人情報保護委員会の設置実現と実績」をテーマに、2週にわたりご講義いただきました。

「個人情報保護法」は、情報化の急速な進展により、個人の権利利益侵害の危険性が高まったこと、OECD8原則等、国際的な法制定が進んだことを受けて、2003年に公布され、2005年に全面施行されました。堀部先生はこの個人情報保護法の制定に大きく携わっていらっしゃり、当時の新聞記事やご講演のお写真など貴重な資料とともに、制定過程を含め個人情報保護法についてご説明いただきました。

データ流通の発展著しい今日においては、個人情報保護法は、誰もが知る法律ですが、ここに至るまでには、特に日本では、多くの歳月が必要でした。堀部先生は研究者として、個人情報保護を目的とする法律の制定を早くから提唱し、OECD(経済協力開発機構)プライバシー・ガイドライン(1980年)を受けて、日本における個人情報保護の在り方の検討や、立法化を提唱した行政管理庁(1982年当時)プライバシー保護研究会の取りまとめ等、個人情報保護関係法の制定・改正過程に関わってこられました。
そのような豊富なご経験を踏まえ、グローバルな視点を交えながら、個人情報保護法の制定とその後の改正の概要についてご説明いただきました。

さらに、個人情報保護委員会についてもお話いただきました。
個人情報保護委員会は、個人情報の有用性に配慮しつつ、その適正な取扱いを確保するために設置された独立性の高い機関です。「個人情報の保護に関する基本方針の策定・推進」、「個人情報等の取扱いに関する監督」、「特定個人情報保護評価に関する事務」等が行われています。
堀部先生には、この機関が開設されるに至る経緯や過程についても言及いただきました。

個人情報保護法の運用・監視に当たるために、独立性の高い監視機関を設けることが世界の常識になってきている中、1988年の行政機関電算処理個人情報保護法、2003年の個人情報保護法では、そのような機関は設けられていませんでした。その中で堀部先生は個人データを的確に保護するためには独立データ保護機関が必須であると早くから論じておられました。その後、2013年に制定されたマイナンバー法で特定個人情報保護委員会という名称の第三者機関が設けられ、その委員長を務められたのが堀部先生でした。さらに2015年の改正個人情報保護法により改組されて設置された個人情報保護委員会の初代委員長にも就任されたご経験もお持ちです。これらのご経験を踏まえて個人情報保護委員会の実績についてもお話いただきました。

本科目(「情報プライバシー権法)は、アメリカにおけるプライバシー権の提唱及びその背景や歴史、欧州のデータ保護法制、アメリカの消費者プライバシー保護法制、日本におけるプライバシー権の発展と個人情報保護法制の実現、発展等を理解し、プライバシー・個人情報保護法のあり方を総合的・客観的に分析できるようになることを目的としています。

このような科目において、堀部先生のご講義は、日本での個人情報保護制度の発展を理解する上で、大変貴重な機会となりました。

 

なお、堀部先生には、本学部の理念である「『情報の仕組み』と『情報の法学』の融合」の意義について解説するPR動画にもご出演いただいております。是非以下のリンクからご覧ください。