国際情報学部

国際情報学部長・教授 平野晋の論文「〈AIの支配〉と〈法の支配〉」が、日本法律家協会の雑誌『法の支配』に掲載されました

2020年05月13日

雑誌『法の支配』

国際情報学部長・教授 平野晋の専門分野はAI・ロボット法、アメリカ法、及び製造物責任法です。

このたび、平野の論文「〈AIの支配〉と〈法の支配〉」が、日本法律家協会の雑誌『法の支配』に掲載されましたのでご案内いたします。

雑誌『法の支配』を刊行している一般財団法人の日本法律家協会は、いわゆる法曹三者(裁判官、検察官、及び弁護士)と法律学者等から構成される団体です。その日本法律家協会が発行する『法の支配』に掲載された平野の論文は、平野が、本学部教授 須藤修とともに、内閣府及び総務省における有識者会議を通じて構築したAI諸原則とガイドラインが、〈OECDの理事会勧告〉と〈G20・AI原則〉に結びついた経緯を紹介しています。国際標準の構築において日本は劣後しているといわれることが多い中、平野の論文は、AI原則やAIガイドラインの国際標準であるOECDの理事会勧告とG20・AI原則については日本が大いに貢献することができた実例を、平野の実体験に基づいて紹介する資料として、今後のAIルールの研究に欠かせないものです。


【タイトル】〈AIの支配〉と〈法の支配〉

【掲載誌】法の支配 No.197

【著者】平野晋

【発行団体】一般財団法人 日本法律家協会

【ISSN】04392892

【内容紹介】
OECDとG20が2019年に採択したAI原則の構築に、日本が貢献した事実や背景を以下のように紹介している。

まず、須藤(現・中央大学国際情報学部教授、前・東京大学大学院情報学環教授)が座長を務め、平野が座長代理を務めた総務省「AIネットワーク化検討会議」(本学部教授 石井夏生利も構成員として参加)が検討していた「AI開発ガイドライン」のたたき台を、香川県高松で開催されたG7情報通信大臣会合にて高市早苗総務大臣が紹介し、国際的な議論を要請。これにG7情報通信大臣たちが賛同し、OECDの協力を受けながらガイドライン構築に向けた国際的議論が始まった。

総務省では引き続き、須藤が座長を務め平野が分科会長・幹事を務める「AIネットワーク社会推進会議」が「AI開発ガイドライン案」や「AI利活用ガイドライン」をとりまとめ、これを国際会議等で積極的に広報。さらに、須藤が議長を務め、平野が構成員を務めた内閣府「人間中心のAI社会原則検討会議」も「AI社会原則」をとりまとめて、国際会議等で広報。OECDにおいて理事会勧告(AI原則)案の文言を検討する「AI専門家会合」にも須藤と平野が日本代表として議論に参加。積極的に総務省・内閣府のAI諸原則・ガイドラインの成果をAI専門家会合で報告し、最終的にOECD理事会勧告に日本の成果を盛り込むことに成功した。
その結果、総務省と内閣府によるAI原則やガイドラインの成果が多く盛り込まれたAIに関するOECDの理事会勧告が、42か国の賛同を得て採択された。そのコピー&ペースト版とでもいうべき〈G20・AI原則〉も、つくば市と大阪で開催されたG20にて採用されるに至っている。

平野と須藤のこれまでの活動は、以下のページでも紹介しています。

2019年5月23日新着ニュース_OECDのAI原則、理事会勧告として採択

2019年1月22日新着ニュース_M.I.Tで開催された「AI専門家会合」に参加

2018年11月19日新着ニュース_パリのOECDで開催された「AI専門家会合」に参加

2018年10月1日新着ニュース_「AI専門家会合」で日本(総務省)の提案を主張

国際情報学部_iTL_では、「『情報の仕組み』と『情報の法学』の融合」(Information Technology & Law)の教育理念のもと、AI・IoT社会を支える情報技術の仕組みやそれらを取り巻く法律・規則を学びつつ、上述のようなAI等の情報技術をめぐる国際社会における最先端の議論についても触れることができます。

「情報」と「法律」の専門知識を生かし、国際社会で活躍することを目指す方のご入学をお待ちしております。